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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第28章 長い夜 ※




「ひぁっ!」

「コレ、今からちょうど脱ごうと思ってたところでな…だから鼻水で汚れたって関係ねぇよ。」


エマに跨り立ち膝をついてバサッとスーツを脱ぎ捨て、するりとクラバットを解く。
スマートで綺麗で、それでいてどこか艶めかしくて…エマはその動作を見ただけで自身の顔に急速に熱が集まるのを感じた。






「エマ…お前を抱きたい。」






悩ましげな顔がエマの視界を埋める。

鼻先が触れそうなほどの距離で掠れた声がして、身体の奥がじんと重たい熱を持った。

エマは切なく揺れるリヴァイの瞳を見つめて小さく、けれどはっきりと頷いた。


あと3センチ…2センチ…
ゆっくり近づいた薄いピンクの唇が優しく重なった。


押し当てて啄んで、唇の感触を味わうようにキスをする。
その柔らかさと温かさを精一杯感じようと全ての神経が集中する。

真っ直ぐ愛を伝え合うことができる喜びを噛みしめるように、二人は優しく温かなキスを何度も繰り返した。







「リヴァイさん、ここ…」


唇が離れて、エマの手が追うようにリヴァイへ伸びた。

エマの目に入ったのはリヴァイの左頬に薄ら浮かぶ赤い痣のようなもの。

暗いドア付近では気が付かなかったが、月明かりが注ぐ明るいベッドの上だとよく分かった。


「ぶたれたんですか…?」


どう見たってそうとしか思えない。
しかも夕方出かける前まで傷はなかったから屋敷で何かあったと思う他ない。

令嬢とどんな風に話をつけたのか詳しく聞いていなかったが、この痣を見れば穏便に済まなかったのは確かだろう…

色々と想像してしまいまたもや泣きそうになるエマの髪を、リヴァイは優しく撫でた。


「身体の傷なんてすぐに消える。それにこんな痣ひとつでお前を傷つけなくて済んだんだから安いもんだ。気にするな。」

「……っ」



髪に触れる手が優しくて、

鼓膜に届いた声が優しくて、

見つめるその瞳が、優しくて…


愛おしい気持ちが一気に溢れ出して止まらない。



エマは左頬を庇いながら両手でリヴァイの顔を引き寄せると、自分の頭を持ち上げそっと唇を重ねた。



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