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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第28章 長い夜 ※




「リヴァイさんごめんなさいっ!」

リヴァイを見て突然謝り出すエマ。

彼女が何に謝っているのかというと、胸元がぐっしょり濡れた彼のシャツと、クラバットに対してだ。

濡れたのは間違いなく自分の目や鼻から出た色々な水分の仕業であり、潔癖なリヴァイのハンカチだけに留まらず、衣服までも汚してしまったとそれはそれは心底申し訳なさそうに謝罪する。


「あぁこれか。まぁあれだけ泣きゃ当然だろ。」

「や…もう本当にすみません…それもきっちり洗って返しますので…」

「ついでに言うとこっちもぐっしょりだぞ。」

「…!?ひゃーっ!ごめんなさい!」


リヴァイの目線の先を辿れば、スーツの肩の部分までもが色が変わるほど濡れてしまっていてエマは青ざめる。

シャツとクラバットなら洗濯できるが、さすがにスーツは無理だ…ここにもクリーニング店等はあるのだろうか…それなら費用は自分が払って…と焦って頭を回しているエマに、リヴァイは困ったような呆れたような顔を向けた。


「何また泣きそうな顔してやがる。別にお前のなら構わんと言ったはずだよな?」

「でもでもっ!リヴァイさんの大事なスーツまで汚しちゃっていくらなんでもこれは」

めそめそ言うエマに被せて“はぁー”と大きなため息が聞こえて、彼女は反射的に口を噤んでしまった。

やっぱり気を悪くしてしまったかと萎縮したが、そんな思いとは裏腹にリヴァイは眉間の皺を緩ませると諭すように言うのだった。


「あのなぁ…俺は全然怒ってなんかねぇし、むしろ…」

「え?」

「こんなになるまで俺に本音を曝け出してくれたってことだろ?お前の本当の思いを受け止められたことが俺は嬉しいって言いてぇんだよ。だからこんなシミのことでもううじうじ気にすんじゃねぇ。」

「リヴァイさん…」


一気に喋ったリヴァイは少し照れくさそうにすぐ目を逸らす。
エマはその言葉とリヴァイのはにかむ姿を見た瞬間に、スーツの心配などどこかへ吹っ飛んでしまった。


「そんな…そんな言い方ずるいです。」

「俺も本音を言ったまでだ。それにな…」


そこまで言いかけたリヴァイは徐にエマの体をひょいと持ち上げると、スタスタとベッドへ運び、あっという間に組み敷いてしまった。


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