第28章 長い夜 ※
リヴァイの指がワンピースに滑り込み内腿をなぞる。
「!!」
その瞬間エマはキスから逃れるように勢いよく顔を振り、残り少ない酸素を使って精一杯声を上げた。
「…ぷはっ!はぁっ、は…まってくだ…リヴァイさんっ!」
指の動きが止まって見ると、切なく眉を寄せるリヴァイと視線が絡んだ。
「はぁっ、はぁっ…どうしちゃったんですか、急に…」
問いかけに答えずリヴァイは再び顔を近づけようとするが、“待ってください!”とエマの大声がまたそれを制止した。
「なっ、何でさっきから何も喋ってくれないんですか?」
おかしい。
何を聞いても答えてくれないし、こんな風に迫ってくるのも初めて。
一体どうしたのいうのだ…
エマは混乱と恐怖の中、恐る恐るリヴァイへ問いかけた。
「今日は…泊まりがけじゃなかったんですか?」
だいぶ夜は深いがまだ日付は跨ぐ前だ。
明日の朝まで令嬢のところではなかったのか?どうしてここに…?
色々気になることはあるがとにかく一番気がかりなのはそれだ。
「用件が早く終わったから戻ってきた。」
落ち着いた表情で答えたリヴァイに、エマの胸は激しく締め付けられる。
もしかしたら…もしかしたら令嬢とは会わなかったんじゃないかとそんな淡い期待を寄せていた自分を愚かに思った。
…令嬢との情事が早く済んだ、ということ?
そう考えた瞬間目の奥がじんと熱くなる。
でもここで泣いてはダメだとエマは必死で歯を食いしばって、なんとか耐えた。
「…それは良かったですね!今日は会えないと思っていたので嬉しいです!」
顔を上げてニコリとする。
大丈夫だ。声は震えてないし、たぶん上手く笑えてる。
「…あぁ」
「あ!そういえば今日はお陰様で楽しめました!リヴァイ班の皆さん本当に面白くて!あ!それでリヴァイさんとのこともバレてしまって…へへ、すみません。」
「そうか」
「バレたというか、まんまと当てられちゃったんですよ!そしたら質問攻めにあっちゃって…上手くかわすのが結構大変で!あっでも大丈夫ですよ?リヴァイさんの尊厳に関わるようなことは何も言ってないので!」
「いや、それは別にいい」