• テキストサイズ

【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第28章 長い夜 ※




真っ直ぐエマとエルヴィンの元へ向かってきたリヴァイは、二人の顔を目線だけで交互に見たあと無言でエマの手を取った。

エマがその手を辿って目線を上げれば、感情の読めない三百眼が見下ろしている。


「リヴァイさ」
「エルヴィン。お喋り中悪いがこいつはこのまま連れていく。」

「あぁ、分かったよ。」


戸惑うエマに被せるようにリヴァイはエルヴィンへ告げる。

するとエルヴィンは特に何か言うわけでもなく引き止めるわけでもなく、すぐに頷いた。
突然リヴァイが現れたことにも動揺する素振りも見せず、いつもの涼しい顔を張り付けている。


そんなエルヴィンを尻目に、リヴァイは何も言わずに掴んだ手を引いて踵を返したのだった。






「まっ!待ってくださいあのっ、」


そんな中 唯一混乱していたのはエマだけだ。

エルヴィンの突然のおかしな言動に動揺する最中、今夜帰ってくるはずのないリヴァイが現れて唐突に手を引かれたのだから。

エマの思考は全くもって追いつかずだった。



「リヴァイさん!どうしてここに?!」

「あぁ」

「あのっ、今からどこへ?!」

「あぁ」


元々歩くのが早いリヴァイだが、今はそれを更に上回るペースだ。

強い力で引っ張られ、エマは時々縺れながらも必死に足を前に出し続けた。

それにさっきから何を聞いても“あぁ”しか言わない。


また足が縺れて転びそうになったが何とか体制を立て直したところで、リヴァイの足が漸く止まる。

足元とリヴァイの後頭部ばかり見ていたせいで気が付かなかったが、いつの間にか彼の自室前だった。








「リヴァんんっ!」


腕を強く引かれ部屋へ入るなりドアに身体を押しつけられて、唇を奪われた。

両手首は顔の横に張りつけられ、息継ぎを許さないほどの激しいキスに酸素を求めて口を開けば、その隙間からいとも簡単に舌が捩じ込まれる。


「んっ…ふ……っん…」

苦しくて霞む視界の中に銀鼠色の瞳が映り込む。

口内を隅々まで犯すような乱暴なキスが注がれ、いつしか両手は頭上で一纏めにされていた。



いつものならこんなキスの仕方はしないのに…


エマは初めて見せるリヴァイの姿に少し怖くなった。


/ 841ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp