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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第28章 長い夜 ※




今までならこの辺でベッドへ連れ込みさっさと相手を満足させて終了という流れだったが、今日はそんなことにはらない。



「リヴァイ兵士長。私は貴方のことが好きで好きでたまらないの。会えない間も頭の中は貴方のことでいっぱい。今日まで長かった…苦しかった…」


物憂げな瞳を向けるエリーゼをじっと見ていたが、何も返すことはしない。




エマ

今日でこの女との関係は必ず終わりにする。

きっちり話をつけて、お前の元へ戻る。


俺は結局お前に隠し事をしちまった。

もう終わらせる話だ。だから最後まで知りさえしなければお前が傷つくことは無いとそう思って、何も話さず兵舎を出た。

それだけはすまなかった…どうか許してくれ。




「ねぇ、貴方はどう?私と会うの、楽しみにしてくれてた?」

「……」


今までなら何のつっかかりもなく頷けていたのが、首を一度縦に振ることすらしなくなった。

エリーゼを見据えたまま一向に動こうとしないリヴァイの頬に、華奢な指が添えられる。


「照れてるのかしら?ふふ、そんな所も好き。」


微笑むエリーゼの顔が月光に美しく浮かび上がる。
が、リヴァイは嫌悪感を募らせる一方だった。


俺が照れてるように…そんな風に見えてるのか?

そんなわけあるはずがねぇ。こいつの目は節穴か?



「リヴァイ兵士長」


差し出された右手を取ったまま口付けることはせず、ただ甲を見る。


「好き…って、言って?」


顔を上げると柔らかく笑う美しい顔が小首を傾げていた。


「……」







俺は感情が外へ出にくい方だ。

いや、正確に言うと喜怒哀楽の怒は出やすいようだが、その他はよく分からないと言われることが多い。

こんな顔だからかもしれないが、それ以前に喜や楽という感情をあまり感じたことがないからかもしれない。

それでも地下にいた頃はまだ少しはそういう気持ちを感じていた気もする。

しかし数年前親友を失った日を境に、そんな諸々の感情は完全に消え失せた。


よく言えば冷静沈着。悪く言えば感情の起伏がない。

だがそれでも特に不自由することはなかった。だからこれで別にいいと思っていた。



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