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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第28章 長い夜 ※




―――――――――


月がだいぶ高く昇った頃。

店を後にしたエマ達一行は徒歩で兵舎を目指していた。


「エルドさんだからぁ、それはへいちょうのいげんをまもるためにも言えませんってぇ!」

「そんなこと言わずに教えてくれよ、なぁペトラ?」

「あー聞いちゃダメな気がするけどやっぱり気になっちゃう!」

「だめだってっおわぁっ!」

「おいエマ!大丈夫か?!」

ヨロヨロと歩くエマが躓き転びそうになるのを、すんでの所でグンタの腕が支えた。


「へへ…ごめんねぇグンタさん…」

「気にするな。しかしどれだけ飲んだんだ本当に。」

グンタはエマの片腕を肩にかけ支えながら、やれやれという顔で言った。



あれから四人からの質問攻めを受けながら、激しい動揺と羞恥心をどうにか紛らわそうとエマの飲酒量は右肩上がりだった。

際どい質問も何度もされたがそれは何とかギリギリのところで交わせていたように思う…

仮にもリヴァイはこの四人の直属の上官なのだ。彼の威厳とプライドを傷つけないように、そこだけはエマは必死だった。


そんなこんなで長いこと気を張りながら酒を摂取し続け、漸く質問の嵐が去ったと安堵した頃には見事に泥酔状態となってしまったわけだ。

気を張っていたのが緩んだ瞬間、エマの体内を巡り回っていた大量のアルコールが一気に脳と身体を麻痺させてしまったのだろう…


もうその後はダメだった。
前回ミケにすり寄った時のように誰かに迷惑を掛けることはなかったが、完全に出来上がったエマはかなり気持ちよくなってしまっていた。

他の四人もかなりいい感じに高揚していたし、結果的にはとても楽しい酒の席となったわけなのだが。






千鳥足をグンタに支えてもらいながら、なんとか兵舎へと辿り着いた。


「エマ、自力で歩けそうか?」

「はい…すみません、ありがとうございました。」

肩を貸してくれたグンタにお礼を言う。
夜風に当たって歩いているうちにだいぶマシになった。もう一人でも歩けそうだ。


「本当に大丈夫?」

「大丈夫大丈夫!ほら、もうちゃんと歩けるし!」

心配そうなペトラの前でエマは力強く足踏みをしてみせると、確かにと頷いた。

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