第28章 長い夜 ※
リヴァイさんだって任務だから行くだけで、きっと好き好んで行くわけじゃない。
勝手に疑心暗鬼になってどうする。
自分がリヴァイさんを信じないでどうする。
そうだ…
そもそもこの憶測だって私の勘違いかもしれない。
リヴァイさんからはっきり言われた訳では無いし、王都に行く用だって他にも色々あるはずだ。夜にする仕事や任務だって私が知らないだけであるかもしれない。
色々勘ぐるのはもうやめよう。
夜が明けたら戻ってきてくれるのだから、信じて待っていればいいんだ。
**
「エマ、お前意外といける口なんだな?」
斜め向かいに座るエルドにそう言われて、もうジョッキ二杯目を飲み干していることに気が付いた。
「これ飲みやすいからついいっちゃいますね。」
「見かけによらずお酒強いのね、エマ。」
隣に座るペトラがニコリと笑う。ほんのり赤くなった頬が可愛らしい。
そのペトラの横からグンタがグイっと顔を覗かせた。
「そういうお前だって十分大酒飲みだと思うぞ、ペトラ。」
「まぁ調査兵団は飲み助が多いから!こういう酒の席だって結構あるし、エマも飲める人で良かったわよねっ!」
「イメージ通りです。やっぱりお酒好きな人が多いんですね!」
「あ!エマまた敬語になってる!」
「あ、しまったついクセで…」
これはさっき知ったことなのだが、ペトラとエマは共に18で同い年だった。
ペトラは自分よりだいぶしっかりしているし、精鋭中の精鋭が集まるリヴァイ班の一員というのもあってエマは勝手に年上だと思っていたのだが、まさかの同い年。
そしてさらに驚いたのが…
「ま、俺には敬語を使ってくれてもいいんだぜ?尊敬の意味を含めてな。」
向かいに座るオルオも同い年だったという事実だ。
「こんな老け顔で私達と一緒の歳だなんてほんと信じらんないわよね!」
「なっ!老け顔はねぇだろ老け顔は!」
「遠回しに言われるほうが傷つくかと思って正直に言ってあげてるんじゃない。エマもそう思うよね?」
「まぁ…すごく驚きはしたかも。」
正直言ってもの凄い衝撃だった。
エマの目から見ても、オルオは下手したらエルドやグンタよりも年上に見えていたからだ。