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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第28章 長い夜 ※



しょぼくれたハンジの背後で丁寧なノック音と声がする。


「エルヴィン団長。エルドです。」


エルヴィンが入室を促しドアを開けたエルドは、集まっている顔ぶれを見て少し驚いているようだった。

調整日の朝から幹部とそれにエマが集まって何をしているのだろう?という感じだ。

しかしすぐにしゃんとして、エルドはそこに座る人物に視線を向けた。


「リヴァイ兵長の執務室が留守のようだったので、こちらに来ました。兵長にお客様がお出でです。」

「客?」

「はい。エリーゼ・ノルトハイムという方です。正門でお待ちですが…」

その名を聞いた途端リヴァイの目が僅かに見開かれた。そしてすぐに怪訝な顔つきになる。


「分かった、すぐに行く。」

スっと立ち上がったリヴァイの目が一瞬だけエマを捉えたが、視線が合った瞬間エマはなんとも言えない胸のざわつきを感じた。


この感じ…前にも経験したことがある…


無言で立ち去るリヴァイの背中を、エマは急速に広がるモヤモヤした気持ちの中見送るのだった。










一一一一一一一一一一一一一一一


「突然ごめんなさいね、たまたまこちらの方へ来たから一目会えるかと思って。」

「あと三日もすりゃ会えただろ。」

「そうね。でも…少しでも逢いたいと思うのは普通でしょ?想いを寄せる人なら。ほら、私達あまり頻繁に会うことは出来ないじゃない。」

「だがこっちにも都合ってもんがある。悪いが中には入れられねぇぞ。」

「ここで十分だわ。貴方のお顔が見れただけで嬉しいもの。」


艶やかなブロンドの髪を華やかに纏め、にこやかに微笑む彼女はエリーゼ・ノルトハイム。

ノルトハイム公爵の令嬢で、彼女こそがリヴァイが半年間懇切丁寧に接待している貴族。
そして壁外調査前にリヴァイへあの手紙を送ってきた張本人だ。

もちろんリヴァイはハナからこの令嬢に対して特別な感情などない。
ノルトハイム家から兵団資金を援助してもらうために彼女のご機嫌取りを仕方なくやっているのだ。

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