第28章 長い夜 ※
興奮したハンジに連れられ団長室へ行ったエマ達。
そこにはエルヴィンの他にミケもいた。
何でも面白そうな匂いが団長室からしたとかで、ハンジがエマ達を連れに行っている間に来ていたらしい。
そしてそこで二人はハンジから怒涛の質問攻めを受けることとなる。
「一一で?で?その“デンシャ”ってのはどんな乗り物なのさ?!乗り心地はどうなの?もちろん馬車なんかよりも全然良いんだよね?!」
「一度に何百人も輸送できる乗り物だ。動力はよく分からんが“デンキ”とかいうやつだ。馬の最高速度よりも速い。乗り心地は…なんとも言えねぇ揺れがとにかく眠気を誘うな。」
「何それ?!馬より速いのに不眠のリヴァイが眠くなるくらい気持ちいいの?!それすごい!私も乗ってみたい!」
「……なぁ、もういいか?」
「いいやまだまだ!次はエマの世界の食事についてだ!」
「………」
質問攻め開始からかれこれ1時間近くになる。
向かいで目を輝かせるハンジを面倒くさそう眺めるリヴァイだが、意外にも受け答えはしっかりしている。
そんなリヴァイを横目でチラリと見て、エマはクスリと小さく笑った。
「おい、何がおかしい。」
「フフ…何だかんだ兵長楽しそうだなって思って。」
「どこがだ。ほとんど尋問だろ。てめぇもヘラヘラしてねぇでそろそろコイツを止めろよ。」
「いいじゃないですか、たまにはこうして皆で和気あいあいと話すのも!私は楽しいですよ?」
「はぁ……そうかよ。」
終わりのないハンジの攻撃にうんざりしつつあったリヴァイだが、エマがニコリと笑ってそう言えば、彼の眉間の皺はすぐに緩まる。
「フン…まるでリヴァイの精神安定剤だな、エマは。」
顎髭を触りながらニタリと笑うミケにすかさずリヴァイの舌打ちが飛ぶが、彼はそんなものはもろともしないようで、すました顔をしてリヴァイに問いかけた。
「で、エマの世界の食べ物は何が1番美味かったんだ?」
「…………味噌汁だ。」