第1章 出会い
突きつけられた現実に、全身から血の気がどんどん引いていくのが分かった。……予想的中だ。
「まさか……お前は時空をも超えて来たって言いたいのか?」
この人は察しがいいようで私の言いたいことを先回りして聞いてくるが、その顔はまさに驚愕、といった表情だった。
「そのまさかみたいです……私がいたのは、2019年」
なんてことだ。
てっきり元いた世界とは同じ時代の他の場所にワープしたのだと思い込んでいたが、どうやら時をも遡ってしまったらしい。
いやもしかしたらここは、私が住んでいた地球上のどこかではなく他の星なのかも……
兎にも角にも、事態は完全に常識の範疇を超えてしまっている。
「どうしよう」
その場にヘタリ込みもうどうしたらいいか分からず途方に暮れていると、リヴァイさんが目の前にしゃがむ。
「おい」
「……はい」
落ち着いた声で呼ばれたので項垂れていた重たい頭を上げると、冷淡そうな三白眼がじっと覗き込んできた。そして次の瞬間思いもよらない言葉をかけられたのだった。
「お前が帰れる方法を探すぞ」
「……え?」
一瞬思考が停止した。というか、この人は何を言っているんだと思ってしまった。
帰る方法を……探す?
「こっちの世界に来たんなら戻る方法もあるはずだろ。正直俺も驚いてはいるが」
ぱちぱちさせている私の目を真っ直ぐ見つめながらそう続ける彼は、すでに落ち着きを払っている。未だに動揺を隠せない私に冷静にそう言うと、リヴァイさんはおもむろに立ち上がって窓の外を眺め始めた。
その姿を見て、私もグッと覚悟を決める。
「確かに……きっと何かしら方法があるはずですよね! 早く帰る方法を探して、元いた場所に戻らなきゃ」
何一つ手がかりなんてない状況だけど、唯一、目の前にいるリヴァイという人だけは信用してもいいのかもしれないと私は思った。