第1章 出会い
◇
「……どうやら俺はまったくわけのわからん事態に巻き込まれたようだな」
目の前のリヴァイという人は大きくため息を着くと、面倒くさそうな目で私のことを見た。私は私で状況を理解しようと辺りを見回しながら必死に考える。
黙って見られ続ける視線が痛かったけど、何となく理解出来てきた気がする……。
すると、私の様子をじっと見ていたリヴァイさんが問いかけてきた。
「お前はどこからきた?」
「私は……たぶん、とてもとても遠い場所から来たのだと……」
私はあの日、何らかの理由で、自分が生きていた世界からこのリヴァイという人が住んでいる世界に飛んできてしまった。『ちょうさへいだん』なんて聞いたこともないけれど、世界も広いんだ、そういう名前の組織がある場所に来てしまったのだろう。
「その黒い箱はなんだ?」
必死に頭の中を整理していると、また質問が飛んでくる。
「あ、これはスマートフォンといって、話したい相手といつでもどこでも電話ができたり、写真を撮ったりできるんですけど」
「……でんわ? しゃしん?」
あれ?知らないのか?
見たところ、僻地に住む先住民族のような格好には見えなかったから、これくらいは通じると思っていた。
……ん? 待てよ?
「あっ、あの! 今って何年の何月何日ですか?!」
なんかすごく嫌な予感がする。できればこんな予想外れて欲しい! あぁ神様!
私は座り込んだまま、目の前に立っているリヴァイさんを勢いよく見上げた。
「849年1月10日だが」
「!!」