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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第27章 Restart




「でも、よく見ると周りにはちゃんと石が積み重ねてあって、人工的に作られたものですね…」

「あぁ、かなり古そうだが…
でも間違いない。俺たちはここに落ちた。」

「そうですね…」


じり…と歩み寄って下を覗き込むが、その底は暗闇が広がっているだけ。見た所やはりなんの変哲も無い井戸だ。

でもここで足を踏み外した時、重力とは別の強い力で引っ張られたのは確か。感覚もまだある。

リヴァイの言う通りこの井戸に落ちたのは間違いないだろう。



底を覗きながら考えていると、突然腕を引っ張られてヨロめきながら身体が後ろへ下がった。


「あまり近づきすぎるな、また引きずり込まれるぞ。」

「あっすみませんつい…」

「とりあえずここには不用意に近づかねぇことだな。」

「そうですね。」


眩しい光が差し顔を上げると、山から姿を現した太陽がエマの頬を照らした。


そういえばこの日は早朝訓練帰りのミケさんがここを通りかかるんだっけ…

ふとミケと種まきしたことを思い出して周囲を見渡すと、演習場の方から歩いてくる大柄な男が見えた。


「あ、ミケさんだ!」

予想通り現れた男の名前を零すと、リヴァイの顔が素早くエマへ向く。

そして近づいてくるミケをニコニコしながら待ち構えているエマの腕を、リヴァイはがしっと掴んだ。


「おい行くぞ。」

「えっ?!ちょっリヴァイさんっ!ミケさんきましたよ?!」

「あ?知らん。」

まるでミケから遠ざけるようにグイグイと引っ張られ、エマは足を縺れさせながら強制的に歩を進まされる。


「ちょっ!急にどうしたんですか?!どこ行くんですか!」

「うるせぇな。」


別に会って気まずくなるような人じゃないのに、リヴァイは接触を避けるかのようにスタスタと行ってしまう。
エマは訳が分からなかった。



一方のリヴァイは、エマをミケと会わせたくない一心だった。

あの日の朝、ここで二人が楽しそうにしていたのを知っているから。


余程不愉快だったらしい。
今回は二人きりじゃなく自分がいるにも関わらず、ミケと喋らせたくないと思ってしまった。

また独占欲全開でとんでもなく幼稚な発想だったが、リヴァイはエマの手を引っぱりながら執務室へと一直線に向かった。

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