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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第27章 Restart




「どこか久しぶりな感じがするな、そうやって君から名前を呼ばれるのは。これも向こうに行っていたのと関係があるのか…」

「私は向こうで5日間過ごしてたからちょっと懐かしい感じがしますけど、団長もですか…不思議ですね。」


フフ、と笑みを零すエマの腕が急に掴まれる。

掴んだ手を辿っていくと、不満そうに睨みをきかす三百眼と目が合った。


「おい、もういいか?」

「リヴァイさん、」

「ハハ…そう怖い顔をするなよ。久しぶりの再会なんだからこれくらい良いじゃないか。」

「“お前”は昨日ぶりで全然久々なんかじゃねぇだろ。
俺は早速今からコイツに書類の手伝いをしてもらわなきゃならん。もう行くぞ。」

「そうか、それは残念だ。
エマ、君の恋人は中々手厳しいな。疲れたらいつでも団長室に来なさい。甘いお菓子をあげよう。」

「すみません、ありがとぉわぁっ!」

エマが言い終わる前に彼女の腕をグイグイ引っ張って踵を返し始めるリヴァイ。


「世話になったなエルヴィン。」

「あっちょっ、リヴァイさんっ」

戸惑うエマの腕を引きながら、リヴァイはあっという間に部屋から出て行った。





「………リヴァイさん、か。」

開け放たれた扉の向こうをしばらく眺め、ポツリと零した。




エマとリヴァイは、私の知らないところでいつの間にか大きく愛を育んでいた。

単純にエマがリヴァイのことを“兵長”じゃなく名前で呼んでいたこともそうだが、何より二人を包む空気が全てを証明しているように感じた。

互いを見る時の二人の、深い慈愛のこもった瞳。
互いが互いを必要とし、大切に思う気持ちがひしひしと伝わった。



さっきリヴァイは、一度はエマを元の世界へ帰そうと思ったと、そう話していた。

自分の気持ちなど私にはほとんど語らなかったが、リヴァイがそう決断しようとした時の気持ちは想像に容易い。

本気で愛していながら自ら決別することは、悲しいだとか寂しいなんて言葉じゃ言い表せないほどに辛いだろう。

だからこそリヴァイは誰よりも、エマがここに留まることになって嬉しいはずだ。



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