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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第27章 Restart




上から覗き込むようにして確認すると、リヴァイの腕に大切に抱きしめられるようにしてその顔は埋まっていた。

その時また窓から刺す雷光で、リヴァイの腕の隙間から横顔が浮かび上がる。



「エマ…」


やはりエマだった。

無意識に口から零れた名前が雷鳴にかき消されるのとほぼ同時に、彼女を抱きしめていた腕がピクリと動いた。

そしてその直後固く閉じられていた目蓋が開き上から見下ろす私と視線がぶつかると、彼は細い目をいっぱいに見開いてうわ言のように呟いた。



「………お前の顔が見えたってことは、無事に帰ってこれた…ってことか。」

「…リヴァイ、これは……」

「コイツ息は…してるな。」


チラリとこちらを見た後、目を閉じたままの彼女の口元に耳を当てて呼吸を確認している。

その一連の動作を眺めているうちに、おおよそ何がどうなって今の状況となったのかは何となく推測できた。



「こんな夜更けにすまねぇな……ちょっとばかしコイツの世界を覗いてきた。」


リヴァイはエマをそっと抱えながら立ち上がり、向いのソファへ寝かせると、至って冷静にそして端的に事を告げた。

彼の後ろにある、扉が大きく開かれた衣装ダンスを見て、最初にエマがリヴァイの部屋のタンスから転げ落ちてきたという話を思い出した。


「どうやって?」

「どうやって行けたかははっきり分らねぇんだが…こっちに戻ってくる時はエマが最初に落ちたという井戸に飛び込んだ。そしたら今度はここに繋がったってわけだ。
…エルヴィン、今日は何月何日だ?」


「4月1日の未明だ。」

「…なるほどな」

顎に手を当てて何かを少し考える男をじっと見た。



本当に行ったのか、エマの世界に…


突然の出来事に正直かなり驚いてはいるが、思考は意外と落ち着いていた。

聞きたいことは山ほどあるが、彼もまだ状況を整理しているだろうと考え、私は蝋燭に火を灯しながら向こうから喋り出すのを待った。



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