第27章 Restart
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「………」
フェードインするように聞こえてきた音で目を覚ました。
横になったまま首だけ窓の方へ向けると、窓に雨粒が激しく打ち付けていた。
せっかく昨夜はいつもより早く寝られたというのに、夜明け前に起こされてしまっては結局同じだな。
まだ外は闇が支配している時間。
エルヴィンはもう一度ゆっくり目を閉じて、微睡みの中へ意識を沈めようとした。
ゴロゴロピシャーン!
閉じたばかりの瞼の裏が明るさを感じたと同時に、轟くような雷鳴が鳴る。
それが二度三度と続くと、嫌でも意識ははっきりと現実世界に引っ張られてしまった。
「………ふぅ」
もう眠るのは諦めようと、身体を起こして布団から出ようとする。その時、また地鳴りと共に思わず耳を塞ぎたくなるような巨大な雷音が響き渡った。
あと一週間で壁外調査だが、当日がもしこんな悪天候ならさすがに実施は断念せねばならないな…そんなことにならないといいのだが。
打ち付ける雨粒を見てそう思いながら、床に足を下ろそうとすると、その先に何かの気配を感じて、エルヴィンは少し身構えた。
何もないはずの床を、目を凝らして見る。
その直後また窓の外が光って、一瞬視線の先まではっきりと照らされた。
「!!」
その瞬間、エルヴィンはそのガラスのような目をいっぱいに見開いて、吸った息をそのまま止めてしまった。
ベッドから2、3メートル先に転がる大きな塊。
あれは間違いない、人だ…
自分が切り捨ててきた仲間の亡霊でも見ているのだろうか…
夢で見ることはあっても、自身の目で見ることなど初めてだ。
少しずつ近づいた。
背後で雷が光る度に、そのシルエットが不気味に浮かび上がる。
よく見ると二つの影が抱き合うようにして転がっている。
そして手前で自分に背を向けて横たわる一人は、よく知っている人物だった。
なぜリヴァイが……
亡霊なんかではなかった。
ならこれは幻か?いや違う。
確かにリヴァイがいるのだ。
そうなるともう一人の人物が誰なのかは容易に予想できた。