第4章 混乱
「ハァッハァッハァ…」
勢いよく執務室を飛び出したエマは、その場から離れたい一心で走った。
さっきリヴァイに言われた言葉たちが頭の中をグルグルと駆け巡る。
少し考えればこうなる予想はついたはずなのに、なんで話してしまったんだろう。
「…っ」
エマはその場にしゃがみこむと小さく嗚咽を漏らした。
執務室の中で溢れそうになったものが、頬を伝って滴り落ちる。
この気持ちは私の勘違いだ。
助けてくれた兵長がちょっとかっこよく見えてしまっただけで、それ以上のなにものでもない。
今まで大した経験もなかったから免疫がないだけだ。
兵長からしたら、いちいちこんなことで喜んだり落ち込んだりして、随分子供だと思ったんだろうな…
「しっかりしてよ、私。」
エマは零した涙を拭いながらポツリと呟いた。
一一一一一一一一一一一一一一一一一一
一翌日
「おはようエマ!朝からいい食べっぷりだねぇ。」
「ハンジさんモブリットさん、おはようございます!」
ちぎったパンを豪快に頬張り続けるエマの前に、ハンジと副長のモブリットが座る。
「あまり詰め込みすぎると喉を詰まらせるぞ。」
モブリットが気にかけるが、エマは大丈夫ですと言ってスープを流し込んだ。
「一!!ゴホッゴホッ!!」
「おい大丈夫か?!」
「エマ、お水飲んで!」
「ゲホッ………すみません、ありがとうございます。」
心配そうなモブリットと、期待通りの展開になったねと笑いながら水を差し出したハンジを涙目で見つめながら、エマはコップの水を一気に飲み干した。
「それにしても今日はどうしたの?まさか早朝の走り込みでもしてきた?」
「一日の始まりは朝が肝心ですから。気合い入れようと思って。」
「それでパン詰め込むー?!
アハハハハ!ほんとエマったら面白いね!」
「ハハハ。褒めてもらえて光栄です。」