第26章 兵長ご満足プラン ※
「なんでしょう…」
「お前、俺と風呂に入るのに緊張してやがるのか?」
そう聞くリヴァイの口元は僅かに口角が上がっている。
う…あっさり見破られてる…
こうなってはもう隠し通せない、正直に白状するしか…
「緊張…してます」
「お前から入ると言い出したんだぞ?何言ってる。」
「あ!あれは兵長が一緒に入れないならもう温泉入らないなんて言うからっ…」
「ほう…俺のせいだと言いたいのか……ならお前は俺と入りたくなかったってのか?」
「や、そういう事が言いたいんじゃなくてですね…」
違う、一緒に入りたくない訳じゃない。
大好きな兵長と一緒に温泉に浸かれるのはもちろん私だって楽しみだけれど…
それ以上に恥ずかしくてたまらないんです!!
僅かに上がった口角は薄ら弧を描いていた。
この人、完全に私を困らせて楽しむつもりだ…
「入りたくなかったのか?」
ソファの背もたれにボスっと体を預けて、突っ立っている私を見上げる兵長。
その目は何だか物寂しそうで、こっちが悪いような気になってしまう。
「いえそんなことないです!入りたいです!」
「誰と入りたいって?」
かと思えば今度は挑発的な目で分かりきったことをわざわざ聞いてくる。
いつの間にか完全にリヴァイに遊ばれてしまっている。
エマはたいした反論もできず紅潮した頬をさらに上気させていくだけだった。
エマはチラチラと辺りを警戒した後、ロビーにいる人たちには聞こえないようリヴァイに近寄って答えた。
「兵長と…一緒に入りたいです…わっ!!」
しかし言い終わったと同時にグイッと手を引かれバランスを崩したエマは、ソファになだれ込むようにしてリヴァイへ覆い被さってしまった。
すぐに離れようとしたが、すかさず腰に腕が回り退路を断たれる。
「やっ!兵長!こんなところでやめてください…!」
夕方の時間、フロントにはスタッフもお客もそこそこの人数がいる。
リヴァイの座るソファは一番窓側にあるし窓の方を向いているから死角になりやすい場所ではあるが、また他人がいる前でこんな恥ずかしい真似をするのかと、エマはつい声を上げてしまった。