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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第26章 兵長ご満足プラン ※




「明日はあの海まで行ってみましょうか!」

「…ウミ?」

張り切った声に返ってきたのは怪訝そうな顔。


兵長は“海”を知らない?

壁に囲まれたあの場所に海がないことは知っていたが、海の存在自体を知らないとは少し驚きだ。本で見かけたりもしなかったのだろうか?


「向こうに見えてる、大きな湖のような場所ですよ。」

茜がかった光が反射する地平線を指さすと、リヴァイはその眩しさに目を細めた。


「湖とはどう違うんだ?」

「そうですね…大きさは湖とは比べものにならなくて、あの地平線の向こうもずっと海で…あ!この国は海に囲まれてるんですよ!それくらい広いんです!」

当たり前すぎることを改めて人に説明するとなると何だか難しい。






「あと湖とは違って、海の水はぜーんぶ塩水なんです!舐めると塩っぱい。」

「塩水、だと?」

リヴァイは片眉をピクリと上げまさかと言う顔でエマを見やる。
すると海を眺めていた横顔がこちらを向き無邪気に笑った。


「明日舐めてみてください!本当に塩っぱいから!」

その笑顔を数秒見つめたあと、リヴァイの視線は海へと移る。


「海、か…」


西日を受けて眩しいくらいに輝くそれは、不思議とリヴァイの心を強く惹きつけた。




「兵長!」

しばらくキラキラした水面を見つめていると弾んだ声が飛んできた。

「あと一時間くらいで晩ご飯ですけど、それまでに一度温泉行きませんか?」

時計を見るともうすぐ5時だ。
確か夕食の時間は6時だと言っていたな…


「一時間か…行ってもいいが少々時間が足りねぇな。」

エマといちゃいちゃしながら入るのに、一時間やそこらじゃ足りないだろう。

少し不満をこぼすと、エマは“え?”と小首をかしげた。


「その辺は心配ご無用です!温泉は何度でも入れるんで、またご飯食べたら行けばいいんですよ~」

「そうなのか」


そうと聞けば安心だ。
とりあえず今からは様子見を兼ねて軽くで、ゆっくりするのは夕食後でも充分だろう。

それに何度でも入れるなら、何度でもエマと広い風呂でいちゃつけるって訳か…悪くない。

そもそも根本を誤解しているのだが、そんなことなどリヴァイは露も知らず、それはこの上なく美味い話じゃないかと期待を膨らませるのだった。

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