第4章 混乱
「いい香りだ。ありがとう、エマ。」
「悪くねぇな。」
「よかった。上手く淹れられるかちょっと緊張しました。」
「とても美味しいよ。毎日頼みたいぐらいだ。」
「私でよければいつでもお淹れしますよ。」
エマはこれ以上感情的になってはいけないと心を落ち着かせ、冷静さを取り戻していた。
元々自分も紅茶が好きでよく自分で淹れていた甲斐があったのか、二人にも気に入ってもらえて素直に嬉しい。
斜め向かいに座るリヴァイをチラッと見ると、ティーカップに何度も口を付けて味わってくれているようだった。
それと、なんだか独特なカップの持ち方をしている。
コンコン一
「失礼します!団長に伝令が届いております。」
「今行く。」
一時のブレイクタイムを過ごしていると、一人の兵士がドアをノックした。
「エマ、ご馳走になったよ。またよろしく頼む。良ければ朝食までここでゆっくりしていってくれ。」
「あ、はい!いってらっしゃいませ!」
エルヴィンはエマの肩に手を置いて微笑むと、脱いでいたジャケットを大胆に羽織り部屋の外へ出ていった。
完全に仕事モードの顔になったエルヴィンを見上げ、その切り替えの速さに驚くのと同時に、それとはまた別の意味でも心臓がドクンと波打った。
「なんだ?俺の顔に何かついているか?」
そう、今最も二人きりになりたくないと思っていた人物と一緒になってしまったのだ。