第25章 神隠し
「温泉って、とても大きなお風呂のことです!温泉は体への効能も色々あってリラックスできるし、疲れもよく取れるんですよ!」
「ほう、大きな風呂か。」
眉を少し上げて興味がありそうな様子だ。
咄嗟に口をついて出た言葉だったが、思いのほか食いついてくれたのには少し驚いた。
「ゆっくりできること間違いなしです!兵長いつもお忙しいし、たまには何も考えずに温泉に浸かって美味しいもの食べて、のんびりしてみませんか…?」
「そうか…それもそうだな。悪くない。」
「なら、今度の休みにでも行ってみましょ!きっと兵長も気にい入ると思います。」
「オンセンとやらはすぐに行けるのか?」
「ここから電車で一時間ほどのところにそこそこ有名な温泉地があるんです。そこなら日帰りでも行けるし、ゆっくり出来ると思います。」
兵長にはあっちの世界で色々とお世話になりっぱなしだし、いつかちゃんとお礼もしたいと思っていたんだ。
これを機にお礼の気持ちを込めて、ゆっくり温泉に浸かってもらって美味しいものをご馳走しよう。
咄嗟に出た“温泉”というワードから、素晴らしい“兵長ご満足プラン”を思いつくことができて、エマは思わず浮き足立った。
「そうと決まれば素敵な温泉探しておきますね!」
「あぁ頼む」
「任せてください!」
エマは意気揚々とそう言うと風呂場に向かっていった。
オンセン…か。
一体どんな風呂なのだろう。単純に興味がある。
エマと一緒に入れるのだろうか?
大きな風呂にエマと一緒に浸かることができれば、疲れもさらに取れそうだし、別の意味での愉しみも増える。
まだ見ぬ“温泉”への想像を色々と膨らませて、珍しくリヴァイの胸も弾んでいた。