• テキストサイズ

【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第25章 神隠し




顎を引き寄せられて、たちまち柔らかいものが押し当たる。

サラリとした前髪が肌に当たって、キスされたんだと思考が追いつく前にぬるりと口内へ侵入した。


「ぁ……んぅ……」

リヴァイの舌は上下の歯列をなぞり、上顎の裏や舌の裏、頬の内側まで丁寧に口の中を愛撫しながら、中で転がっていた飴玉を掬い取ると、ジュルリと音を立ながら唾液と一緒に引き抜かれていった。


「んっ……っ、へいちょう?!」

「…お前の言った通り飴だな。甘かった。」

「ちょ…何言ってるんですか!ていうかこんなところでいけません!」


奪い取った飴玉を舐めながら悪い笑みを浮かべるリヴァイに、エマは心底慌てながら小声で咎めた。



平日とはいえ昼時のレストラン街、人もそこそこいる。
周囲の視線が痛くて前を向くことができず、羞恥に赤らめた顔を俯ける。


「別に見られてもいいと前から言ってるだろ。」

「へ、兵長は平気かもしれませんけど、私は顔から火が出そうなほど恥ずかしいんです!」

「通行人の一瞬の記憶なんて数日も経てば消え失せちまうんだ、そんなこといちいち気にするなよ。」

「そっ!」


“そんなこと言われても恥ずかしいものは恥ずかしいんです!”と言おうとした口をまた塞がれ、蕩けるような口づけが降り注いだ。

舌と一緒に少し小さくなった球体が押し込まれる。



「美味かった。」

「っ…もう!」



甘くて甘くて、甘い。


甘いのは砂糖のせいなのか、それとも好きな人とのキスがこんなにも甘くするのか…


霞む頭にぼんやりと問いかけながら、返ってきた球体をどうすることもできず、口の中で溶けるのをただ待っていた。





/ 841ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp