第24章 異世界トリップ
「ここには誰も居ない方がやりやすいだろ。いちいち俺をかくまる必要もないしな。」
「確かに…」
兵長のことがもし親に見つかったりでもしたら、どう説明すればいいのか分からないし、説明したところで信用してもらえるかもイマイチだ…
「兵長の言うとおり、タイミングよく旅行に出かけてくれて良かったかもしれないです。」
久しぶりに両親と再会できたが、何しろ突然なことづくめだし妙な点も多くて、今はそれを素直に喜べるほど上手く気持ちが整理できていないのも事実。
「それに、」
続けざまに何か言いかけた兵長は、椅子から立ち上がってドアの前に突っ立ったままの私の前に来た。
おもむろに、右手を頬に添えて大きく円を描くように滑り、指先が耳朶を掠めた。
「!!」
次の瞬間ふわりと兵長の唇が重なった。
舌が入ってくると同時に空いている手が私の指に絡まり、そのままドアに押しつけられた。
「んっ、ふぅっ、んぁ…」
突然の激しいキスを必死で受け入れる。
兵長を追いかけて自分も舌を伸ばすと、すぐに掬い取られてされるがままになった。
ガクン、と膝の関節に力が入らなくなりずり落ちそうになった体を支えられて、ようやく唇が離された。
「はぁ、はぁ…どう、したんですか、急に。」
「こういうことするのに誰かがいたら気を遣うだろ。その点からしても、俺にとっては大いに好都合ってわけだ。」
「なっ!!」
一気に顔中に熱が集中していくのが分かって両手で頬を覆った。
「そ、そんな呑気なこと言ってる場合ですか!一刻も早く帰る方法を探さないといけないのに!」
焦ってつい大きな声になってしまった。
だけど焦ってるのは私だけで、兵長は依然として落ち着いている。
「それもそうだが…お前と二人きりでゆっくり羽を伸ばすのも悪くないと思ったんだが、お前はどう思う?エマよ。」