第4章 混乱
「朝早くにどうかしたか?」
エルヴィンが執務室のドアを開けると、不機嫌そうに応接ソファにドカッと腰をかけているリヴァイと目が合った。
「今朝この報告書にサインをして持ってこいと言ったのはお前だろ。」
「あぁすまない。そうだったな。」
エルヴィンは特にリヴァイの様子を気に留めることもなく部屋の中へ歩みを進める。
すると大きな背中に隠れて見えなかったエマの姿がリヴァイの視界に入った。
「朝のお楽しみの邪魔だったか?」
「そうだな。」
「はっ。とんだロリコン野郎だな。」
「否定はできないな。しかしリヴァイだってそういうのは好きだろう?」
「馬鹿言え、俺はガキは好みじゃねぇよ。」
「あっ!あの…!」
さっきから目の前で勝手に繰り広げられている会話を聞いていたエマが、少し声を上げて制止に入る。
「朝、掃除をしていたらエルヴィン団長が声をかけてくれたんです!それで、少しお茶をいただきに来ただけです!」
「フッ、そうか。」
ニヤリと笑うリヴァイを見て何が可笑しいんだと言いたくなったが、口には出さなかった。
「ということだ。よかったらお前も一杯飲んでいくか?」
「あぁ。ちょうど喉が乾いてたところだ。」
「なら、私がお茶を淹れてきますね!」
二人とも何勝手な話をしてるんだ!
大体、エルヴィン団長はいつもら私をからかいすぎな気がする。
それに、リヴァイ兵長だって…
エマは先程の会話に若干気を悪くしつつ、執務室の隅にある簡易キッチンでお湯を沸かしていた。
「おい、茶の淹れ方は分かるのか?」
「分かりますよそれくらい!」
神経が過敏になっていたせいで、声をかけてきたリヴァイに背を向けたまま少し感情的に返事をしてしまった。