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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第23章 予想外の出来事




「あっ!兵長!」

歩き出そうとした足が止められる。
振り向くと慌てたようなエマの顔があった。


「なんだ?」

「急にどこに?」

「野暮なこと聞くなよ、分かるだろ…」


エマの発言にたいしたリアクションもせず急に手を引っ張って、いきなりどこに連れて行かれるんだと思ってしまうのも当然か、と思いながらもそう口走ってしまった。


分かるだろ、と言ってみたものの、純朴なエマはリヴァイの心身に蔓延ってしまった浅ましい欲望などにはこれっぽっちも気づかないだろう。

だが、いちいち今からどこで何をするかなんて口に出して言うなんて、そんな野暮なことはしたくないし、煩わしい。
そう思ってしまうほどに膨れあがった欲求はリヴァイのことを急かしてやまなかったのだ。



リヴァイは再び手を引こうとするが、また踏み止まられてしまった。


「ちょっ!ちょっと待ってください!」

「なんだよ。」

つい眉根を寄せてしまう。
本当にこいつのことになると余裕が持てなくなる。


「あの、どこに連れてってもらっても構いませんが……その前にここだけ片付けてからでもいいですか…?」

申し訳なさそうに言って地面に目線を落とすエマ。
視線の先にはホウキが転がっていた。

さっき抱き寄せた時にエマの手から滑り落ちたホウキだ。


それを見て、エマが欲しくてたまらなくなっていた脳みそが少しだけ冷静さを取り戻した。



「あぁ、分かった。」

「すみません、すぐ片付けますね。」

腰をかがめたエマの横からホウキを拾い上げ、その奥に置いてある半分ほど枯れ葉の詰まった袋を取りに行こうと足を出す。


「あっありがとうございます!
そうだ兵長!あそこのも袋に入れていっていいですか?」

エマは慌てて礼を言い、さらに奥にある枯れ葉の山を指さしながら俺の横を通り過ぎていった。


明日に持ち越せばせっかく集めたのに風で飛ばされてしまうかもしれないし、まぁあの山は片付けておいたほうがいいだろうな。

そんなことを考えながら、リヴァイは小走りで行くエマの後を追った。



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