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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第23章 予想外の出来事




「お前は誰にでもすぐに愛想を振りまきすぎだ…」

「…は、はぁ」


間抜けな面して見上げるエマ。

この様子じゃ俺の言いたいことはうまく伝わっていないなと思った。


「例えお前が意識してなくてもだな…向こうが勝手に盛り上がってることだってある。男ってのはお前が思ってるよりずっとバカで単純な生きもんなんだぞ。」



今朝のミケのことを思い出していた。

エマに笑いかけられて、嬉しそうに頬を緩めていたミケのあの顔を。

あいつは衝動的に手を出すような奴ではないだろうし、たぶんだが俺とエマの関係にも気づいている。


だが…あいつはかなりのムッツリ野郎だ。

何食わぬ顔をしてコソコソとエマをおかずにでもされたらたまったもんじゃねぇ…



「すみません…私また兵長に心配を…」

申し訳なさそうな顔で見上げながら謝ってきたエマ。

本当に分かったのかと少し不安が残ったが、そんな顔をされたらこれ以上は何も言えなくなってしまう。


「分かったなら少しは意識しろ。前も言ったが、この兵団内でもお前をそういう目で見てるやつは少なくねぇってことを忘れるなよ。」

「はい…」

腕の中で小さくなっているエマの頭を撫でると、胸に顔を埋めて背中のジャケットをギュッと掴まれる。




…クソ、俺も余裕がなさすぎたか…



なかなか二人きりでゆっくりできていないところに、ミケとの楽しそうなお喋りを見せつけられ、極めつけに好きでもない相手を抱かなければいけなくなり、リヴァイの心はやるせない気持ちでいっぱいだった。

こんな時、そんな気持ちを唯一和らげてくれるのはエマという存在しかない。

しかし今日も例に漏れず多忙を極め、今朝仕事のやりとりを少ししてからは執務室に帰ることさえなかった。


だから訓練帰りにここにエマの姿が見えた時、声をかけられずにはいられなかったのだ。

また明日になれば顔を合わせることができるのに、それでも一分一秒でも早くこいつの温もりを感じたいと体が勝手に動いていた。

こんな時間に1人でうろついていたのが心配だったのは言うまでもないが、それ以上に自分がエマに触れたくて仕方がなかったのだ。


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