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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第23章 予想外の出来事




「ひどいなぁホントにもう。親切に手紙を届けに来てあげたっていうのに。」

「手紙?」

「リヴァイ宛にね!はいコレ!じゃあ私もう行くわ。」


トン、と胸に押し当てられた手紙を受け取り、背を向けて歩き出したハンジの背中を眺めたあとまた外へ目を向ける。

知らぬ間にミケはどこかへ行ってしまい、エマは1人でいそいそと花壇の世話を続けていた。


「…………」


受け取った手紙には差出人が記載されておらず、その場で中身をあらためる。

手紙は短い文章で纏められたもので、読んだ瞬間にひどいため息が出た。



一次の壁外調査の後、屋敷でお待ちしております。



差出人は手紙の最後に記されていた。
昨年の末あたりからリヴァイがずっと接待している都の貴族の女性からだった。

文章の最後に書かれたこの一文が何を意味することなのかすぐに理解出来てしまって、胸糞が悪くなる。



「……クソが。」



今までなんとか自身を押し殺しながら、自分に寄せられる淡い恋心を傷つけないよう大事にしてきてやったのだが、今回、ついに身体まで求められてしまったということだ。


これも兵団の資金繰りを手助けするためであることは重々分かっているし、こういうことは初めてな訳じゃない。

だけど…




リヴァイは便箋を折りたたんで戻すと、執務室へ入って机の引き出しにしまい、椅子にドサリと腰を下ろした。


「はぁ…」


またため息が出る。

まったく良くないことは重なるな…と嫌になる。


恋人であるエマのことは自由に抱けないというのに、貴族の誘いには否が応でも従わなければいけないこのクソみたいな状況に、やり場のない感情が込み上げた。



エマへの欲求不満が積もり積もったところに、この追い打ちはないだろう…

今日は朝から最悪な気分だ。



リヴァイはしばらくそのまま、なんとか貴族と会わなくて済む方法がないかを思案してみるが結局いい案なんて浮かばず、舌打ちをしながら溜まりに溜まっている書類を手に取りペンを握った。



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