第23章 予想外の出来事
「何の話ですか…?」
隠し事…色々想像してみたが、ミケが何のことを言っているのかさっぱり分からない。
しかも、うなじの匂いを嗅いで一体何が分かったと言うのだ。
「強く匂うようになったと思ってな。」
「…な、何の匂いでしょうか…?」
自分の体臭を嗅がれて“強く匂うようになった”と言われるとなんだかあまりいい気がしない。
ミケが何を考えているのか早く知りたくて急かすような気持ちになった。
「お前が秘書やってる奴の匂いだ。」
「えぇっ?!」
思わずうなじを押さえてミケから離れるように退いてしまった。
まさか、まさか匂いだけでバレ…
「一緒に仕事してるから前から多少は匂いはしていたが、ここ最近アイツの匂いが強く混じっている気がしてな。
もしかしたら恋仲にでも発展したのかと思ったんだが、そういうことなのか?」
「っ…!だっ大体そんなのいつ分かったんですか?!」
「すれ違った時や軽く話した時だ。」
「うそ……!!」
ミケとは接点こそ少ないが、すれ違えば挨拶はするしたまに少しだけ立ち話をすることもある。
だけどその時にわざわざ匂いを嗅がれたことは一度もない。
それなのに、自分の体から発せられる僅かなリヴァイの匂いを察知していたというのか…
なんと恐ろしい嗅覚の持ち主なのだろう…
「で、どうなんだ?アイツとの関係は。」
薄ら笑いを浮かべながら聞いてくるミケは、もう答えはほぼ当てているようなものなのにわざわざエマの口から言わそうとしてくる。
完全にエマのことを面白がっているような雰囲気だ。
たぐいまれなる嗅覚に脱帽…といった様子で、観念したエマはその口を開くのだった。
「…ミケさんの言通り、兵長とは恋人同士です、うぅ…」
思いもよらぬ形でミケに白状することとなり、エマは羞恥で顔を赤らめてしまう。
するとミケはフン…と短く笑って、満足そうな顔だ。