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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第23章 予想外の出来事




「…ダメだな。」

「え?」

「俺の指じゃ10粒ぐらいとれてしまう。」

「あ…本当だ。」

ミケが指さす土のくぼみを見ると、明らかに多い種の数。
そのままミケの顔に視線を移すと、ピッタリと目があってしまった。


「フンッ」
「フフフッ」

二人は同じタイミングで吹き出した。



「エマ。」

少しだけ笑い合った後、また種蒔きに戻ろうと視線を花壇へと落とすと同時に声がして、また見上げる。


「帰る手立ては見つかったのか?」

つぶらな瞳はこっちをジッと見つめたままだった。


「……確証はありませんけど…もしかしたらこれじゃないかっていう方法は見つけました。」

エマの回答に少しだけミケの瞳が揺れた。


「…試してみるのか?」

「…………」


薄黄色に見つめられたまま、言葉を詰まらせてしまうエマ。
少しの間沈黙が流れる。


「…いずれは。」

「そうか。」


ミケはエマの歯切れの悪い返事を聞いてまた手の上の種に視線を落とすと、そのまま続けた。


「帰りたくないのか?故郷に。」

「帰りたい………と思ってました…」

「?」

エマからの返事の後半でまた顔を上げるが、今度はエマの視線が花壇に落とされたままだ。


「我が儘…なんですよね、私。本当なら帰れるかもしれないと分かったら潔く行くべきだと思うんですけど…」

「ここを立つのが惜しいと?」

「……はい」

くぼみに落ちた種を見つめながら小さく返事をする。



この花が咲くのを自分も見たい―



―スンスン。




「ひゃっ?!!」



目線を落としたままやるせない気持ちになってしまっていると、急に首筋に何かが当たる感触を感じて声を上げてしまった。

例のミケの“癖”だ。


「フン……なるほど。」

「どどどどうしたんですか急に!」

「お前、何か隠してることがないか?」

「え?!」


勢いよく横を向くと、ニヤリと口角を上げているミケが目に映る。

何か“良いこと”に気づいてしまった…というような表情で、その顔はとても愉しそうに見えた。


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