第22章 制御不能 ※
「今回は…前のように怖い光景が蘇るようなことはないです。兵長がずっと傍にいてくれてるからですかね…へへ。」
「そうか…もし辛くなったらいつでも言え。こういうのは時間が経ってからでもふと思い出しちまう時がある。」
「心配かけてごめんなさい…」
「馬鹿言え、恋人として心配するのは当然だろ。いちいち謝らなくていい。」
「兵長……」
自分はとても大切にされている。
ぶっきらぼうな言葉でもリヴァイの想いはしっかり伝わって、愛おしい気持ちが溢れ出して思わず腕に力がこもってしまう。
「おい…苦しいぞ。」
「すみません。でも、もう少しこのままじゃ、だめですか?」
「…そうだな……」
リヴァイの髪の匂いが鼻腔をくすぐる。
とても落ち着く、大好きな匂い。
もう少しだけ、この人の温もりと香りを、独り占めさせて欲しい。
「きゃっ!!」
と思ったのも束の間。
背中に回っていたリヴァイの腕が解かれたと思えば、後頭部と腰を支えられながら後ろへ押し倒されてしまった。
その動きは目にもとまらぬ速さで、エマの体は訳も分からないうちにベッドへと沈んだ。
「へいちょう…?」
「そんなにくっつきたいなら、こうした方がもっといいと思わねぇか?」
「え?ちょっとまっ…」
リヴァイの言ったことをエマが理解する前に、体をぐるりと反転させ背中で結い上げられたドレスの紐を解き始める。
そしてあれよあれよという間に紐は解かれ、淡い水色のエンパイアドレスはベッドの下へと脱ぎ捨てられた。
「兵長!待ってください!」
上体を起こそうとするも、太腿辺りでリヴァイ跨がっているため身動きがとれない。
なんとか首だけ動かして振り向くと、逞しく筋肉質な肉体が目に入った。
「今日はお前に気を遣ってもうやらねぇつもりだったが…あんなに大胆に誘われちゃあ黙っていられねぇよな?」
「え?なんのはな…っ!!やっ…」
自分が一体いつ誘ったというのだ。そんな心当たりなど全くない。
だけど、口角をニヤリと上げたリヴァイは確かにそう言った。