第3章 いきなりピンチ
「ハンジさん!エルヴィン団長!」
無事に兵舎へ戻った2人は、中庭でハンジとエルヴィンの姿を見つけた。
「エマ!どこ行ってたの?!」
「すみません!ちょっと散歩に出たら迷っちゃって…」
「訓練所の森の中で見つけた。ビビってションベンなんかは漏らしてねぇが、身体がだいぶ冷えちまってる。」
「ショッ…!」
リヴァイなりに安心している気持ちを表しただけなのだが、いきなりの下品な発言にエマは固まってしまうが、エルヴィンもハンジもほっと胸をなで下ろした様子だった。
「エマの姿が見当たらないからあちこち探したんだよ?訓練所の森って、そんなに遠くまで行ったの?」
「はい、つい……本当にすみません。お二人にも心配をおかけしてしまって。」
「無事でよかった。それに好奇心が旺盛なのはいいことだ。」
エルヴィンはそう言いながらエマに近づくと、大きな手で頭を撫でた。
その手はとても暖かくて優しく、エマは益々申し訳ない気持ちになってしまう。
「とりあえずお前は一旦医務室だ。体の具合をよく見ておいてもらえ。」
「は、はい!分かりました。」
「それなら、医務室へは私が連れていくよ。エマ、お腹も空いてるでしょ?給仕の人にお願いして、何か食べるものを出してもらうね。」
「ハンジさんすみません、ありがとうございます。」
「なら頼んだぞ、ハンジ。俺は戻る。」
リヴァイはそう言うと踵を返して歩き出した。
「あっ、リヴァイ兵長!本当にありがとうございました!」
エマは咄嗟にリヴァイの背中に向かって感謝の言葉を発すると、顔を半分だけこちらに向けて、あぁ。とだけ返事をされた。