第21章 初体験

「っ…さい……て………」

「ハハハハッ！最低かぁ。その言葉よく覚えておきなよ？」


口端から垂れた液体を舐めとるように、ざらついた舌が這った。


「っ！」

「ちょっと舐めてあげただけでビクビクしちゃって。君のここ、今じんじんしてたまらないでしょ？」


そう言いながらドレスを捲り上げ、下着越しに秘部をなぞられればエマの身体は大きく跳ねた。


「あっ…」

「そんなに可愛い声出して、僕を誘惑してるの？」

「ち…が……っ」

下着の上からなぞられているだけなのに、電流のような快感が全身を駆け巡る。


「フフ…撫でられるだけで気持ちいだろ？」

空いた手で首筋や腰を撫でられれば触れられた部分が次から次へと熱を持ち、身体は更なる刺激を求めるように疼いてしまう。


こんな卑劣な行為に屈してたまるかと心の中でいくら思っても、彼の指先ひとつで簡単に反応してしまう身体。

この男に対してはもはや憎悪しか感じないのに、触れられただけで素直に感じてしまう自分が悔しくてたまらない。



「こんな状態でここを直に触ったらどうなっちゃうんだろうね？試してみたいと思わない？」

「っ…おもわ…な……あぁっ！」


下着の上から敏感な部分を引っかかれて、脳天を突き抜けるような快楽の波が襲った。



「かなり感度がいいなぁ…これは愉しめそうだよ。」


心底愉しそうな顔でエマを見下ろしている。



この男、狂ってる一



温度のない指が下着にかかった。


「……！！やめてっ！」


エマは声の限り叫ぶ。が、喉の奥から掠れた声が漏れるだけだ。

必死に抵抗しようとするも、薬で身体の自由を奪われた上に媚薬まで飲まされてしまったエマにはもはや為す術がなかった。






「…………ちょう…」


「…泣いてるの？」


ポロポロと涙を溢れさせるエマを見て伯爵の動きが止まった。



こんなのいや……

助けて……助けて……



「へいちょう………たす…けて…」



弱々しく助けを乞う。


しかしその名前を聞いた瞬間、伯爵は人形のように整った顔を醜く歪ませ、エマの細い首を両手で押さえつけた。


「兵長兵長って……あんな奴のどこがいいんだよ！なぁ！あんな人殺しみたいな顔した奴のどこが！！！」