第21章 初体験
「そ、そう言って貰えてよかったです。見慣れないから違和感がすごくて…兵長の目から見てどうかな、なんてって気になっちゃって、へへ。」
「それでわざわざ見せに来てくれたのか?」
「はい。あ!あと…その、やっぱり兵長に一番に見て欲しかったから。」
「…!」
顔を見上げて照れくさそうにしながら話すエマに、理性の壁が危うく崩れそうになる。
「…俺も、さっきから待ってた。」
「え?」
大きな黒い瞳が揺れる。
「誰よりも早く見たかった。お前の姿を色々想像してたら仕事も手につかずあのザマだ。」
リヴァイが自虐的に言いながら目線を机にやると、机上にはハンジから渡された分厚い資料が綺麗に置かれたままになっていた。
「こんなもの見せられちゃ益々連れて行きたくなくなるな。」
ため息交じりに本音を漏らしながら、密着させたままの華奢な身体をさらに強く抱きしめた。
すると、背中に回された腕にもそっと力が込められる。
「大丈夫です…私はいつだって兵長だけですから。」
小さな声で、でもはっきりと言ったエマの顔は少し赤くなっていて、リヴァイはたまらなくなって無防備なその唇に口付けをする。
そのまま本能のままに貪りたい衝動に駆られたが既のところで耐えて唇を離すと、眉をひそめて切なそうに見上げるエマが映った。
「………兵長?」
「これ以上するとせっかくの化粧が取れちまうな…」
少し残念そうに呟くリヴァイは、その代わりとでも言うように今度は首筋にキスを落とし始めた。
リップ音を鳴らしながら首筋から鎖骨へ、そして露出した肩へと無数のキスの雨を降らす。
エマはやんわりと抵抗してみせたが、生肌を這う唇の感触がくすぐったくて気持ちよくて、身体は素直に反応し始めてしまう。
そしてたちまち甘い息遣いが漏れ出した。
「ん……へ、いちょう…出かける前からこんな…ダメですよ………っ!」
エマの制止の声に対し、嫌だと言い返すかのように首筋を舐め上げた。
「へいちょう!もっ…本当に……」
これ以上続けられては本気で欲情して歯止めがきかなくなってしまいそうだと焦った声を上げると、鎖骨に沿って動いていた舌がゆっくり離れていった。