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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第21章 初体験




「夜会がどんな場所か知らねぇだろ。表向きは華やかだが腹ん中じゃ下衆なことを考えてる連中ばかりが集まってる。そんな所にお前を連れてくなんて俺は断固反対だぞ。」

「それは確かに知らないですけど…でも、皆さんの力になれるなら」
「ダメだ、止めておけ。悪いが爺さん、その貴族の誘いは断ってくれ。」


リヴァイはエマの主張に被せるように強い語調で言い張った。
その気迫にエマは押し黙り団長室に少しの沈黙が流れると、突如ピクシスの盛大な笑い声が響き渡った。


「ハッハッハッハ。エマ、おまいさんは兵士長殿に本当に大切にされておるようじゃな。
しかし夜会に参加すると言うても、エマの相手はたった一人じゃ。それにエルヴィンの言う通りグラーフ伯爵は歪んだ思想が蔓延る貴族界の中でもかなりの常識人じゃぞ?目付役だって二人もおる。そこまで危険な橋ではなかろう?」


「…………」


ピクシスの話を聞き黙り込むリヴァイ。

エルヴィンの方を見ると真顔でこちらをじっと見ていた。



「私情は捨てろ、リヴァイ。私も出来れば連れていきたくないが、兵団にとって千載一遇のチャンスでもあるのだ。」


エルヴィンのひと押しが加わるとリヴァイはついに反論を止めた。



確かに兵団のことを考えたらこの機を逃すのは勿体ない。

それでもグラーフ伯爵がエマに会いたがっているという理由で参加させるのが嫌でたまらなかった。

いくら社交辞令だと言っても自分以外の男と一対一で話すなんて、ましてや最初からエマのことをそういう目で見ている奴と。

そんな所へ易々と大切な恋人を差し出すなんて是が非でも嫌だと思うのは当たり前だ。


だがそれはエルヴィンの言う通り私情の話。
自分はエマの恋人である前に、兵士長なのだ。


エルヴィンの言う事は最もだし、エマも行くと言うならやはりここは連れていくしかないのだろう…




「……了解だ、エルヴィン。」



「兵長…ありがとうございます!」

「悪いなエマ。初対面でしかも貴族と話すのはだいぶ疲れるだろうが頼んだぞ。」

リヴァイの言葉にエマの顔はパァッと明るくなった。


「はい!尽力します!」

「エマ、ありがとう。そう言ってもらえて助かった。」


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