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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第21章 初体験




夜会なんて言葉の響きは良いが、現実は暇と金を持て余した貴族の遊び場みたいなものだ。


権力と金と欲にまみれた男女が互いの私利私欲のために媚びへつらい交わる。

“人類最強の兵士長”という肩書きのせいでこれまで幾度となく参加させられてきたが、何度行ってもあの空間は胸糞が悪いだけだ。

まぁ豚共を満足させればその分金は出してもらえるから、これも自身の務めだと割り切ってはいるが、そんな理由がなければこんな誘いは今すぐにでも蹴ってる。



そんな場所にエマを連れていくなんて…

しかも相手は大貴族だ、もし気に入られて大金をチラつかされ迫られでもしたら…



そこまで考えるとリヴァイは焦りと苛立ちを隠せなくなった。



「こいつが危険に晒されるかもしれねぇんだぞ?」

「グラーフ伯爵は貴族の中でも割と常識のある好青年だ。」

「ハッ、よく知りもしねぇ相手を簡単に信用するとはな。もしものことがあったらどう責任を取るつもりだ?」

「そうならないように私とリヴァイでカバーすればいい話だ。」


涼しい顔をしてしれっと言うエルヴィンに腹が立つ。


エマがこの兵団のために尽くしたいと必死なのはエルヴィンだって知ってるはずだ。

そんなあいつに兵団を左右することだと言ったらイエスと言うに決まってるだろうが。

それも全部分かった上で話を持ちかけてやがるのか?



いくら兵団のためとはいえわざわざ危険を冒してまで参加させるなんて…

てめぇだってエマのことが大切なはずだろ…







…いや違う。


こいつは目的のためなら手段を選ばない男だった。

調査兵団の団長として目的を果たすために、利用できるものは全て利用する。

そう、物も人も全て…




時には冷酷で非情な判断さえ下すエルヴィンが、まさかエマに対してもそうなのかと唖然としていると、黙って話を聞いていた渦中の人物が突然声をあげた。




「あ、あの、」



エマは大きな黒い瞳を揺らし三人の顔をそれぞれ見ると、はっきりとした口調で言った。



「夜会に参加します!私が参加することで兵団お役に立てるのなら、ぜひやらせてください!」




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