第20章 小さな違和感
“リヴァイのことをどうか支えてやってくれ。あいつに心の拠り所が出来たのは恐らくとても久しぶりだから”
エルヴィンの言葉が頭に浮かぶ。
団長の言ってた言葉の意味がようやく分かった。
そして自分の気持ちも改めて再確認する。
「ハンジさん私…兵長を支えたいです。兵長が注いでくれる分…いえ、それよりもたくさんの愛を兵長に…」
エマは流れた涙をもう一度拭うと顔を上げ、潤んだ瞳を細めて笑ってみせた。
その笑顔は春の暖かな日差しのように柔らかく、とても優しかった。
その優しい笑みを受けてハンジもニコリと口角を上げる。
「私がお礼を言うのも変だけど、ありがとうエマ。」
「私こそ…ハンジさんのおかげでモヤモヤがすっきりした気がします。」
兵長も言ってた、後悔しない方を自分で選べって。
まだまだ結論は出せそうにない、だけど…
兵長の傍で兵長を支えたい。
この気持ちだけは絶対に揺るがない。
自分の気持ちに素直にと言うのなら、やっぱり私の想いはこれしかない。
「だから、私こそありがとうございます。」
何かが吹っ切れたような晴れ晴れしい表情で礼を言うエマを、ハンジはまた勢いよく抱きしめた。
「あぁ良かった!少しでもエマの力になれたみたいで!」
「ハンジさん、苦し……」
「おっとごめん!
でもさ、さっきのエマの渾身の愛の告白を聞いたら、リヴァイ卒倒しちゃうかもね!」
勢い任せに抱いた腕を離すと、今度は頭をクシャッと撫でながら悪戯に笑うハンジ。
その言葉にエマは目を丸くして素早く頬を両手で覆い隠した。
さっきはつい熱くなってしまって勢いで言ったが、思い返すと恥ずかしさが一気にこみあげてしまったのだ。
「わ、私なんて恥ずかしいことを……」
「アハハ!でもすんごいキュンとした!私がもしリヴァイだったら間違いなく押し倒してるね!」
「おっ押し…!」