第20章 小さな違和感
「ま!とりあえずエルヴィンには正直に話すしかないか!今後のことはエルヴィンの意向を聞いてから考える!あー二人に話してたらちょっと立ち直ったよ!」
「それは良かったな。もうこんなことでいちいち俺達に泣きついてくれるなよ、クソ面倒くせぇ。」
「冷たいなぁリヴァイは!やっぱりショックだったんだもん誰かに聞いて貰いたかったんだよー!」
「んなもんモブリットに慰めてもらえばいいだろ。」
「ま、まぁまぁ!もう少し寛大に受け止めてあげてもいいんじゃないんですかね…?」
未だ腹の虫が収まらないのか何かと喧嘩腰なリヴァイに、エマが間に入って宥めると少し大人しくなった。
しかしそれもつかの間、今度はニヤケ顔で茶々を入れだすハンジにリヴァイの眉間の皺は再び深く刻まれることになる。
「エマは優しいなぁ。きっとそういう所に惚れちゃったんだろうね!そうだろリヴァイ?!」
「…あ゛?てめぇ削がれてぇのか?」
「兵長!それはダメです!落ち着いてください!」
不機嫌極まりない顔で腕を組みながら、ドスの効いた声を放つと、エマがオロオロとまた止めに入る。
ハンジに甘いひとときを邪魔された上にからかわれてしまい、リヴァイは心底苛立っているようだ。
結果こうしてリヴァイの機嫌を損ねることになってしまい、エマはやはりこんなところでマッサージなんてしてもらうんじゃなかったと少し後悔してしまうのであった。
「アハハ!ごめんちょっと調子に乗っただけ!ありがとうね、二人のおかげで元気出た!じゃあちょっとエルヴィンとこ行ってくる!」
ハンジは相変わらずあっけらかんとしながら席を立ち、去り際にエマに耳打ちした。
「今夜、私の部屋集合ね。詳しく聞かせて!」
「!!…りょ、了解です!」
ハンジは満足そうに頷くと片手をヒラヒラさせながら部屋を出ていった。
詳しく聞かせてと言うのはやっぱりリヴァイとのことだろう。
こんな形で知られてしまったのは想定外だったが、こちらから改まって話すのもなんだか小っ恥ずかしかったので、これはこれでよかったかもしれないとエマは内心安堵していたのだった。