第3章 いきなりピンチ
「うぅっ…」
寒い。
完全に陽は落ち、エマの身体はさっきからなんとか体温を上げようとガタガタ震えている。
自分の腕で体を抱きしめて暖めようとするが、大した効果は得られなかった。
ダメだ…お腹が空きすぎてるし、寒くて手足もうまく動かなくなってきた。
誰でもいい、誰か助けて…
空腹と寒さは、こんなにも人の気力を奪うものなのか。
こんなことになるなんて思いもしなかった。
今までは少し歩けばコンビニや飲食店がある場所で暮らしていたから、寒さも空腹もしのごうと思えばできていた。
しかしそんなものはここにはないし、土地勘も皆無だ。
はぁ…アツアツの肉まんが食べたい。
大木の幹に体を預け、エマはぼんやりと故郷の味を思い出していた。
「私、このまま死ぬのかな…。」
虚ろな目で空を見上げてポツリと呟いた。
そこにはまるで宝石を散りばめたように、星達がきらきらと輝いている。
これだけ綺麗な夜空を見ていると、こんな絶望的な状況はもしかして悪い夢ではないかと錯覚してしまいそうだった。
その時エマの視界に突然、小さな光が飛び込んできた。
あの光は……
もしかしてあの世からのお迎えだったりして……ハハ。
?!!
違う!
まさか…
エマは体制を立て直すと、目を凝らしじっと見つめた。
小さな光は、ヒュンヒュンと左右に大きく振れながら飛び回っている。
「っ助けて!!!」
その瞬間、エマは今の自分に出せる精一杯の声で助けを呼んだ。
するとその光が一旦木の上で止まる。
エマはもう一度声を張った。
「ここです!助けて!!」