第20章 小さな違和感
兵長のマッサージは意外にも(と言ったら語弊があるかもしれないが)上手くて驚いた。
繊細かつ丁寧な手つきでいい所を指圧してくれる。力加減も最高だ。
凝り固まった筋肉はじわじわと解きほぐされていった。
「んんっ……そこいいです兵長…」
「こっちもか?」
「あぁ…すっごい気持ちいです……」
「……おい。」
「はい…?」
気が付けばソファに横にさせられて、うつ伏せで“マッサージ屋のお客”状態になって施されていたエマ。
あまりの気持ち良さに、完全にリヴァイに体を預けてリラックスしてしまっていると、静かな低音が上から聞こえてくる。
後ろを振り返ると腰や太腿をマッサージしてくれていたリヴァイの顔が目の前にあって、突然唇を塞がれた。
「んっ…………!!っ……へいちょう?」
「さっきから随分といい声が出るじゃねぇか。それにセックスの時より素直に感想も出やがって、誘ってんのか?」
「え?!っんん………」
訳が分からないうちにまた唇を奪われてくるりと体を反転させられ、あれよあれよという間に組み敷かれてしまった。
えと…私今、マッサージを受けてたんじゃなかったっけ…?
ぼんやりとそう思っていると、こちらを見下ろすリヴァイの視線が変化していることに気がついた。
え、ちょっと、
「待ってください!何でこんな展開になっちゃうんですか?!」
「馬鹿言え、俺は最後まで純粋にマッサージをしてやるつもりだったんだぞ。お前が変な声出して俺を煽ったんだ。その責任を今からきっちり取ってもらう。」
「ちょっと待っ……あっ!!」
胸に埋めた顔を押し返そうとするエマだが、首筋を舌でなぞってやるとすぐに大人しくなる。
最初は本当に辛そうだったから昨日は少しやり過ぎたかと思って労ってやるかと始めたわけだが…
たかがマッサージなのに。
あんな艷声で素直に気持ちいいとか言われたら興奮しないはずねぇだろ。
こいつはそういうのに疎すぎて何にも分かっちゃいないから困る。
そんなことを考えながら口内を貪り乳房を揉みしだいてやろうと手を添えた。