第20章 小さな違和感
そのあとリヴァイにも気持ちを問いただしたりしたけど、その後何か行動はしたのだろうか?
エルヴィンとエマはデートを経て何か関係が変わったりしたのだろうか?
なにせあれから自分も色々と忙しくて話は聞けていない。
かなり気になったが、号泣していた時に失恋したようなことを言っていたし、今軽いノリで聞くことではないかと思い口を慎んだのだった。
「あ、そういえばハンジさん、」
「ん?」
「捕獲した巨人の名前って、結局どっちにしたんですか?」
「あぁ、結局エマとリヴァイが良いって言った方をつけたよ。」
あの時、リヴァイは真剣に考えてなかったかもしれないけど、二人の意見が合ったのが無性に嬉しくなってそっちを選んだんだ。
まぁこんなことリヴァイに言ったら巨人にそんな思いを絡ませて気持ち悪いとか言われそうだけど。
「そうだったんですか!採用されてちょっと嬉しいです。」
「うんうん。クァールはすごく威勢がいいから扱いがちょっと大変だけど、いい被検体になりそうだよ。」
「確かに…威勢が良さそうでしたね。」
「確かにって、エマ、クァールを知ってるの?」
「あっ、実は昨日偶然実験場の前を通りかかった時に……」
「え?!そうなのー?!どう?どうだった?!エマの斬新な角度から見た感想を聞かせてよ!」
「え、えーと……」
話の流れでエマが巨人を見たというのを知って、ついスイッチが入ってしまったハンジ。
エマへの質問攻めとクァールの実験話を長いことされて、気がつくと賑わっていた食堂はエマ達以外誰もいなくなっていた。
「あっ!まだこんなところにいた!分隊長!何してるんですか!」
「げ!モブリットごめんすぐ行く!
エマ、長々とごめんね。また続き聞かせて。じゃあね!」
ハンジは両手を合わせて大きくごめんのポーズを作ると、ガチャガチャと食器を下げて呆れ顔のモブリットのもとへ駆けていった。
「ふぅー…やっと開放された…」
ほんと、ハンジさんの巨人に対する狂科学者ぶりには脱帽だ。
「うわ!もうこんな時間!早く行かなきゃ!」
一息ついて時計を見ればもう始業時間直前だった。
エマも急いで食器を下げ、ダッシュで執務室へと向かった。