第20章 小さな違和感
「おはようエマ!って…大丈夫?!」
「あ、ハンジさん、おはようございます!」
ハンジが食堂へ行くと、朝食の乗ったトレーを持って変な歩き方をしているエマと会った。
「何その歩き方!?それに腰もちょっと曲がっちゃってるし、何かあった?!」
心配しながらハンジは片手でエマのトレーをひょいと持ち上げると、二人分の朝食を近くのテーブルへ運ぶ。
「すみません、ちょっと色々あって。」
「見るからに体ボロボロって感じだけど、どうしたの?」
「あ、えと……昨日厩舎の掃除の手伝いをしてたら張り切りすぎたのか筋肉痛になっちゃったんですよ。」
「なるほどねぇ…それならいいけど筋肉痛でそこまで体バキバキになるなんて、エマほんと張り切りすぎだよ。」
アハハと笑いながら豪快にパンをかじるハンジ。
もちろんハンジにもリヴァイとのことは言えるはずもなくそれは黙っておいたが、今まで色々相談に乗ってくれていたしいずれちゃんと話をしなければ、とそんなことも思った。
「それより、ハンジさんなんだかすごくお久しぶりな気がしますね。」
「そうだね!まぁこうして食堂でゆっくり朝食取ること自体久々だからなぁ。」
「やっぱり、捕獲した巨人のことで忙しいんですよね?」
「まぁね!でもさすがにそろそろちゃんと朝ご飯食べろってモブリットに言われちゃったからさー。
でもやっぱり朝ご飯は大事だね!いつもより頭がよく働きそうな気がするよ!」
そう言ってボリボリと頭を掻いている。
この調子だとお風呂もまともに入っているのか怪しかったが、あえてそこは突っ込まないでおく。
ハンジさんは本当に根っからの研究気質なんだなぁと改めて感心を寄せた。
「そうですよ、朝ご飯は元気の源ですから!しっかり食べて力つけてください!」
「うんそうする!エマもここ数日は忙しくて大変だったでしょ?そろそろ落ち着きそう?」
「あ、はい!だいたい片付いてきました。兵長も今日から久々に訓練に参加するって言ってましたよ。」
「そっか、なら良かった。」
自分に向かってニコニコしながらリヴァイの話をするエマを見て、ハンジは思った。
確かエマから最後にリヴァイの話を聞いたのは、壁外調査前に研究室前で号泣していた時だ。