第19章 休息 ※
風呂上がりの湿った髪を拭きながら瞼を閉じる。
「………」
“夕食と風呂が終わったら俺の部屋へ来い、いいな?”
“今夜は『ゆっくり』できそうだ、楽しみにてる。”
「ハッ!また兵長の言葉がぐるぐると……」
脳内で再生されたリヴァイの言葉。
思い出すのはこれで何度目だ…
思い出す度ドクンドクンと煩い心臓に、部屋に行く前からこんなになってどうする!と心の中で突っ込んでみるが、どうにもうまくいかない。
直接的な言葉で言われた訳じゃないけど、たぶんそういうつもりで部屋に来いと言ったんだろう…
もちろんそれが嫌とは思わないが、そういう経験はリヴァイと恋仲になったあの夜だけだったからまだすごく緊張してしまう。
「……………」
でも、初めて身体を重ねた夜のことを思い出すとなんだか自分の奥の方がきゅんとする。
その感覚に戸惑うが、身も心もリヴァイを求めてしまっている、ということだけははっきり分かった。
「……そろそろ行ってもいいかな…」
まだ少し湿っぽい髪を丁寧に櫛で梳かし、部屋着のシャツワンピースの上にガウンを羽織ってエマは自室を出た。
―――――――――――――――――
…コンコン
静まりかえった廊下に控えめなノック音が響く。
「エマです。」
返事がない。
ドアが開くまでの時間がやけに長く感じる。
その間にも鼓動は速まるばかりだ。
そのうちにガチャリと開いたドア。
ドアの向こうに見えた光景に、鼓動を早めたエマの心臓は一瞬止まりそうになってしまった。
迎えてくれたのは、部屋着で肩にタオルを掛けたリヴァイの姿。
ただし、その上半身は何も纏っていない。
「意外と早かったな。」
「あっあのあの、すみません!!」
「来て早々何に謝ってやがるんだ。」
「や、だって…兵長服を……」
白い肌に美しい腹筋と肩にかけたタオルの隙間からチラリと覗く胸筋。
濡れた髪からは時折雫が滴り落ちていく。
これは目のやり場に困りすぎる。
ただでさえ緊張しきっていたところに、いささか刺激の強すぎる出迎えをされてエマは頭がクラっとした。