第19章 休息 ※
顔には出ていないが最近ずっと忙しくしてるし今日は弔問もあってきっと疲れているだろう。
そんなリヴァイに少しでもゆっくり休んで欲しいと声をかけたのだが、返ってきた言葉はまたもや想像の上を行くものだった。
「……そうだな。お前の言う通り久しぶりにゆっくりしようと思う。だから…」
何かを言いかけて僅かに口端を上げるリヴァイ。
そのままエマの顎を人差し指一本で持ち上げて顔を寄せ、続く言葉をゆっくりと紡いだ。
「今夜は、俺の部屋に来い。」
「え………?!」
囁くような低音が鼓膜を揺らした。
喋れば息が顔にかかるくらいの至近距離でそんなことを言われ、エマの頭は軽くパニックになってしまった。
“ゆっくりしたいから、俺の部屋に来い”って、どういうこと?!
「ちょ、ちょっと待ってください!私が行ったらゆっくり休めないじゃないですか?!」
「あ?何馬鹿なこと言ってる。」
顎を持ち上げていた指先をパッと離し、呆れたような顔で眉根を寄せるリヴァイ。
「だって…疲れてるから早く寝た方がいいと思うし、一人でゆっくりする時間も必要かと思ったんですけど…私がいたら邪魔になります。」
「はぁ…お前は馬鹿なのか?」
「う……ちょっと、何でそうなるのか意味が分かりません…」
この短いやり取りでなぜか二回も馬鹿と言われてしまった。
…いやそんなことはどうでもいい!
さっきから急に抱きしめられたり、ゆっくりしてくださいと言えば部屋に来いと言われたり、訳が分からない。
リヴァイの思惑が全く分からずあたふたするエマを見てリヴァイはまたため息をひとつつくと、やれやれと言った様子で説明を始める。
「だからだな、つまり俺はお前と一緒にゆっくりしたいってことが言いたい。」
「え?あ、あ……わたしと?」
「そうだ。」
「そんなの休息になりますか…?」
「馬鹿言え、俺にとっちゃそれが一番の休息だ。」
またもや馬鹿呼ばわりされてしまったことはもう置いといて…
この人はなんでこうあっさりとこんな台詞を吐くことが出来るのだろうか。
ストレートに言われてようやくリヴァイの気持ちを理解できると、途端に恥ずかしくなって俯いてしまった。