第19章 休息 ※
実験施設を覗いたことを謝ったら、怒られるどころか抱きしめられた。
理由はよく分からなかったがとにかくリヴァイの胸の中は安心したし少しドキドキもしてそれが心地良く、その抱擁を素直に受け入れた。
リヴァイの背中にそっと腕を回すと、またギュッと抱き寄せられる。
背中越しに微かなため息を感じた。
「あの…やっぱり怒ってますか?」
「いや怒ってない。ただお前のことがどうしようもなく好きだと思っただけだ。」
「え?!……そ、それは今の話の流れと全然繋がらない気がするんですけど…」
「うるせぇな…いいから少しこのままでいさせろ。」
「はい……」
唐突な告白に驚いて反射的に身体を離そうとすると、逃げるなよ、とでも言うように力強く腕の中に引き戻される。
リヴァイの予想できない言動にエマはさっきから翻弄されっぱなしだ。
「……………」
あぁ。愛しのエマにこうして触れれば、すぐにでも欲望のままに掻き抱いてやりたくなる。
我ながら、もうこんなにも深く入れ込んでしまうとは…
だがタイミングは悪くもうすぐ夕食の時間。
リヴァイは心の中で舌打ちをしてゆっくり身体を離すと、大きな漆黒の瞳と視線が交わった。
「そんな目をして見るな…」
その先を期待するかのような目で見上げられればせっかくの我慢も台無しになりそうになるが…今は我慢だ。
「え?!あっ、すみません。」
「はぁ…まぁいい。
とにかくあまりショックは引きずってないみたいでよかった。施設を覗いたことについてはもう気にするなよ。」
「はい…すみません、ありがとうございます。」
再びぺこりと頭を下げたエマをまた撫でてやると、少しはにかんだ笑顔が戻った。
かと思えば、今度は心配そうな顔をして続けざまに問いかけられる。
「…兵長、今夜は少しは休めそうですか?」
「あぁそうだな。お前の働きもあって事後処理もいつもより早く片付きそうだしな。」
「よかった…なら今夜はゆっくりしてくださいね。疲れも溜まってると思うので。」
気遣ってくれるエマの柔らかな笑顔に心身の疲れが癒されていくと同時に、一度は我慢した欲求がすぐまた燻り出してしまう。