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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第19章 休息 ※




添えられた手は優しく頬を包み込み、そこからリヴァイの体温がじんわりと伝わってくる。


「危険な目には合わなかったのか?」

「は、はい…柵の外から覗いてしまっただけなので…」


リヴァイの真剣な表情を見て益々申し訳なくなりつつも、なんの前触れもなく突然触れられたことについ鼓動が速くなってしまっていた。


「そうか。危害が及ぶようなことがなくて良かったが……見て気持ちのいいもんじゃなかっただろ。」

「はい…兵長の言う通りでした。止めておけと言われたのに……勝手な真似をして本当にすみません。」

「まぁ見ちまったもんは仕方がねぇ、それより…もう大丈夫なのか?」


リヴァイの親指がそっと頬を撫でる。
相変わらず心配そうにこちらを見つめていた。


「し、正直見た時はすごく怖かったです……でもモブリットさんが傍にいてくださったおかげで落ち着くことが出来ました。」

「…そうか、モブリットがいたのか。」

「はい…」



壁外調査の日だって、前から一人で出歩くなと言われていたのに感情任せに兵舎を飛び出してしまった。

そして今回も忠告されていたにも関わらず、少しくらいという気持ちに甘んじてしまったのだ。


しかしリヴァイは怒ることも呆れることもせず、ただ自分のことを心配してくれている。


エマはまたもや起こしてしまった身勝手な行動に、自分を戒めたい思いでいっぱいになった。



「兵長、本当にすみません。約束を破ってばかりだし心配をかけてばっかりで…」

「…そうだな。」


エマが視線を落とし再び謝罪すれば、リヴァイの親指は頬を優しく撫で続けながらも無機質な声で相槌が返ってくる。



あぁ、やっぱり怒らせてしまってるだろうか。



エマは恐る恐る目の前にいる顔を見上げた。

するとまたもや想像とは違う憂いを帯びたような切なげな表情に、ドキリとする。



「そんなことは今に始まったことじゃねぇだろ。ここに来た直後から迷子になったり酒に飲まれたりしてたしな。」

「う……そ、そうでした…もう、なんと申し上げていいのか……」


リヴァイがそう言えばエマはそれはそれは申し訳なさそうに小さく肩を丸めた。


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