第19章 休息 ※
「あっ!あの………」
「なんだ?」
…やっぱりこのまま黙っておくことはできない。
「あの、遅くなったのは……実は厩舎の掃除の後に…その、行った所がありまして…」
リヴァイの座る机の前まで来ると、エマは申し訳なさそうにポツリポツリと話し出した。
改まって話すエマのことをリヴァイは頬杖を付ながら黙って見上げている。
う……まだ何も話してないのにこの目に見つめられるとすごく萎縮してしまう…
だけど、きちんと話して謝罪なくちゃ。
エマは意を決したように下ろした両方の手を握った。
「兵長!申し訳ありません!
……私、その…見てしまいました…」
「何をだ?」
「きょ、巨人を…見ました。
厩舎から帰る途中たまたま実験施設の前を通りかかって……その、どうしても好奇心に打ち勝てなくて…!
兵長に興味本位で見るなと言われたのに、約束を破りました…
本当にごめんなさい。」
エマは一気に喋り終えると深く頭を下げた。
あぁ…今頃自分めがけてあの鋭い刃のような視線を突きつけられているだろうか…
でも、兵長の気持ちを裏切ったのは私なんだ。私が悪い。
怒られる覚悟も呆れられる覚悟もできてる。
そんなことを考えながら頭を下げたままでいると、想像とは違った声が飛んできた。
「何ともなかったのか?」
予想とは全く違う心配そうな声色にエマは思わず頭を少しだけ上げて、机の向こうに視線をやる。
「あれ?兵長……ひゃっ?!」
するとそこに座っていたはずのリヴァイの姿がなく周りを見渡そうとしたら、突然横から伸びてきた手が両頬に添えられてくるりと横を向かされた。