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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第18章 少女が見たもの




「ハンジさんはやっぱりすごい人なんですね…」

「あぁ。あの人の知的探究心はある種人間離れした部分があるからな。未だに俺も計り知れないくらいだ。」

ハンジの話に驚嘆しつつ、少し間を開けたあとエマはバツが悪そうに話し出した。



「……兵長には、興味本位なんかで巨人を見に行くなって言われてたんです。
でもいざここにいることが分かったら、やっぱり自分の目で確かめてみたくなってしまって……」



兵長にこの事が知れたら怒られるだろうか。はたまた呆れられてしまうだろうか…



自業自得なのだがそれを考えてしゅんとしてしまうエマにモブリットは優しく言った。


「エマの考えは分からなくもない。俺も同じ立場だったら、やはり見てみたいと思うだろうし。
…でも、リヴァイ兵長はきっとエマの事がすごく大切なんだろうなと感じるよ。」


「……それは、私にも良く分かります。」



モブリットの言う通りだ。

リヴァイは部下として、そして恋人として自分をとても大事にしてくれているのは痛いほど感じている。



「…大切な人には少しでも怖い思いなんてさせたくない。その気持ちは俺にもよく分かるんだ。」

「モブリットさん…」


山の向こうに沈んでいく夕日を見つめるモブリットの瞳には、一体誰が映っているのだろうと、そんなことを思った。





しかし、やはりほんの少しの好奇心であっても、こんな事はするべきじゃなかった。

リヴァイの思いを裏切ったような気分になってエマは胸の奥がチクリと痛んだ。




「…それより、気分はどうだ?顔色はだいぶ良くなってきたみたいだが。」

モブリットが見る限りエマの様子は…まぁ少し凹んでいるようだが、実験施設で見つけた時よりはだいぶ血色がいい。
恐怖からは大分解放されただろうか。


「おかげさまでだいぶ落ち着きました。あの…お仕事中にご迷惑をおかけしてすみませんでした。」

「いや、このくらいいいんだ。調子が戻ってよかった。一人で帰れそうか?」


「あ……えと、道を教えて頂ければ……」


自身の問いかけに対し自信なさげな顔で頷くエマを見て、モブリットは小さく笑い声を漏らすと、すっと立ち上がった。


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