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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第18章 少女が見たもの




「ハハ、その様子じゃ一人で帰すのは不安だな。俺もそろそろ兵舎に戻ろうと思ってたんだ。少しここで待っててくれるか?残りを片付けてすぐに戻ってくるから。」

「す、すみません…正直一人だとちょっと自信がなかったので…モブリットさんが一緒だと助かります。」


太陽はほとんど山に隠れていてもう外は薄暗い。

また方向音痴を発揮して迷子になるのだけは避けたかったので、モブリットの厚意は有難かった。


モブリットは実験施設に戻りしばらくしてエマの所に戻ってくると、二人は兵舎へ向かって歩き出した。

モブリットの手には何やら数枚の書類が握られている。


「それは巨人の研究データかなにかですか?」

「あぁ。分隊長も弔問に行っていたから、今日は俺がここを任されていたんだ。もう戻ってるだろうからこのまま報告しに行くとするよ。」

「あの……巨人の研究ってどんなことするんですか?」

「そうだな…意思の疎通ができるかとか体の構造を調べたり…かな。
まぁでも、なかなか欲しい情報が手に入らなくてな。思うように進んでいないのが現状だ。」

「未知な生物を解明するのってやっぱり難しいんですね…」

「全てが一から手探りだからな。でも、ここで分からないと蓋をしてしまったら先へは進めない。
分隊長もそれをよく分かってるからこそ、ほんの少しでも情報を得るためにコツコツと努力を重ねているんだ。」


モブリットの語調からは強い意志を感じた。

巨人を絶滅させるにはこうした研究を含む努力の積み重ねと、確固たる強い意思を持ち続けることが必要なんだと思った。


そしてそれは言葉で言うほど簡単なことではないだろう。


改めて、この兵団が戦っている相手は一筋縄ではいかないのだと感じるエマであった。













実験施設から15分くらい歩いたところで、ようやく兵舎にたどり着いた。

日はすっかり落ち辺りは暗闇に包まれている。


エマはモブリットに礼を言い別れると、幹部棟を見上げた。



おそらく兵長はもう帰ってきているだろう。

留守中に進めた仕事のことを報告しにいかなければ。



エマは夕食前にリヴァイの元に立ち寄ろうと、そのまま執務室へと足を運んだ。


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