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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第18章 少女が見たもの



震える足がなぜか言うことをきかず、その場から動けなくなってしまったエマ。

巨人は完全にエマのことを捕食対象と見なし、嬉しそうに不気味な笑みを浮かべながら尚も必死に身を捩っている。

その時、



「おい!そこに誰かいるのか?

……エマ?!」



遠くから自分を呼んだ声にエマはハッと我に返った。


巨人の向こう側から駆け寄ってくる人物、それは驚きと焦りの表情を浮かべたモブリットだった。



「モ…ブリットさん」

「エマ、なぜここに…?!
とにかくここは危険だ、下がって。」




モブリットはエマの背中に手を添え素早く巨人の視界に入らないところまで連れ出した。


「すみません…」

「いや、大丈夫だ。しかしまた何故こんなところに…」


先ほどの巨人の実験現場から少し離れたベンチにエマを座らせると、モブリットは心配そうに顔を覗き込む。


「今日は兵長が弔問で不在だったので、仕事が片付いた後リヴァイ班の皆さんと厩舎の掃除をしていたんです。
その帰りにここを通りかかったら、聞いたことのない呻き声が聞こえて……その…つい……興味本位で…」


エマは肩を丸め申し訳なさそうに釈明した。


「そういうことだったのか。兵舎から離れたこんな場所に一人でいたから、迷子にでもなってたのかと思ったよ。」

「いえ…モブリットさんの言う通り帰り道を間違えてここにたどり着いてしまったみたいです…」


厩舎と兵舎はそう遠くはなかったから兵舎からだいぶ離れているここに来たということは、やはり道を間違えていたのだ。

得意の方向音痴を炸裂させ加えて興味本位で覗いてしまったことを詫びるエマだったが、モブリットはそれを特に咎めなかった。


「まぁたまたま気がついたのが俺でよかったよ。
……いきなりあんなのを見て怖かっただろ。」


先ほど門の前で震えていたエマの姿を思い出し、モブリットは気遣うような言葉をかけた。


「すみません、身動きできない巨人なのに取り乱してしまって情けないです…」

「何言ってるんだ、初めてだったんだろう?誰だって初めてあんなもの見たら大きな衝撃を受けるさ。」


あ、分隊長以外はね。とモブリットは苦笑しながら付け加えた。

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