第18章 少女が見たもの
厩舎へ行くのは初めてだ。
そういえばこの辺りはハンジさんにも案内してもらってなかったかも。まだ色んな施設があるんだなぁ…
幹部棟からはそんなに離れていないが、厩舎の周辺は普段の活動範囲外だったので初めて見る建物もいくつかある。
エマはいつもと違う場所での仕事に少しワクワクしていた。
相変わらずのオルオとペトラのやり取りに笑いながら歩いていると、目的の場所にたどり着く。
「おっ、やっと来たか。」
「ごめんね二人とも!」
厩舎の中へ入ると、入口付近で作業している人が二人。
ペトラへ声をかけた金髪の男性はエルド。その奥で大袋を一輪車から下ろしている褐色肌の短い黒髪がグンタだ。
「ん?後ろにいるのは…エマか?」
エルドがペトラの後ろにいるエマに気付き、グンタと共に何故ここにいるのか不思議そうな顔をしている。
そんな二人にエマは張り切って挨拶をした。
「エルドさんグンタさんお疲れ様です!今日は兵長が留守で仕事にもキリがついたので、お手伝いに来ました!」
「そうか、兵長確か今日は弔問だったもんな。人手は多い方が助かる。エマ、来てくれてありがとう。」
大袋を軽々と肩に乗せながらグンタがにこやかに礼を言った。
それにエルドが続く。
「毎回壁外調査後には兵長から大掃除の命が下されるんだが、今回はこの広い厩舎をやれと言われてちょっと面食らってたところでな。
しかもエマも知っての通りだと思うが、兵長は掃除に関しては一切の手抜きを許さないし、毎度この任務はなかなか大変なんだ。」
「いつもなら兵長も一緒に掃除してくれるんだけど今日はいないから、後で見て全てやり直せ!なんて言われたらもう心折れちゃいそう。」
「それを見越してエマと言う優秀な人員を連れてきた俺はやはり秀逸だな。」
「オルオが秀逸かどうかはどうでもいいんだけど……本当エマが来てくれて助かる!ちょっとキツイかもしれないけど頑張りましょ!」
「は、はい!皆さんが期待するような力になれるか分かりませんが精一杯やらせていただきます!」
鼻高々に言ったことをペトラに軽くあしらわれ、悲しそうな表情を浮かべるオルオを横目に、エマはリヴァイ班の皆にペコッとお辞儀をした。