第18章 少女が見たもの
「そうだったんですか?って、実際来たんだろ?お前のところまでリヴァイ兵長が。」
「…そ、そうです!わざわざ駆けつけていただいて、その節は兵長にはとてもご迷惑をおかけしてしまいました…」
エマは結局リヴァイの話にありがたく乗っかることにした。
「まったくだ…張り切るのは良いこったが、あまり兵長に負担をかけるようなことはするなよ。」
「は、はい…肝に銘じておきます!」
オルオさんの言うことはもっともだ。
オルオさんにも要らない心配をかけちゃったし、今後はこんな勝手な真似は本当にしないようにしよう…
「オルオ?!こんなところにいた!」
しゅんとするエマの背中に突然、明朗快活な声が響いた。
「ペトラさん…!」
「何だペトラか…」
振り返るとそこには、オルオと同じくリヴァイ班の紅一点であるペトラが立っていた。
なんだか少し怒っているようだ…
「あんた!またくだらない自慢話してるの?もうとっくに集合時間過ぎてるんだけど!」
「ハッ、わざわざこんなところまで俺を探しに来やがるとは…やはり俺のことが気になって仕方がなぐがぁっ!!」
ペトラはまくし立てるように言ったが、オルオはすました表情でなんだか見当違いな返答をしていた。
しかも話の途中で盛大に舌を噛んでいる。
「だ、大丈夫ですか?!オルオさん!」
エマは慌ててオルオに駆け寄ろうとするが、ペトラがすかさずその間に滑り込んでエマに同情するような顔を向ける。
「エマ、大丈夫だった?オルオがまた余計なおしゃべりして苦しめられてない?」
「いえ、それは全然大丈夫なんですけど…オルオさんの口から血が…」
心配そうに見つめるエマの視線の先には、口の端からタラリと血を流し口元に手を当てて悲痛な表情を浮かべるオルオの姿だ。
「あぁいいのよ、いつものことだから。それに間抜けなこと言ってるオルオが悪いんだしね!」
「おい!せっかくエマが心配してくれてるのにそんな言い方ねぇだろ?!」
「そのまま舌を噛み切って死ねばよかったのに。」
「ペトラさん…なかなか手厳しいんんですね、はは。」